日本人と英語

日本人に対する効果的な英語教育とは

2016年2月17日 CATEGORY - 日本人と英語

応用言語学          

 

 

 

 

 

 

    前回、前々回に引き続き、今回も「英語観察学~英語学の楽しみ~」からのトピックについて考えてみたいと思います。

第三回目の今回は、「応用言語学」についてです。 応用言語学とは、言語学の方法論や知識を別の分野に応用する学問です。

そして、今回のテーマは、それを英語教育に応用して、日本人に対する効果的な英語教育を実現することです。

日本人が他の言語の話者に比べて英語の習得に苦労をする理由については、様々な説がありますが、一つの大きな理由だと思われるものに、「英語と日本語の言語的距離が大きいこと」があります。

言語的距離が近い言語間であれば、言語が支配する概念に共通点が存在する可能性が高く、比較的簡単に相互間の意志の疎通が図られるのですが、日本人の場合、日本語のシステムで思考した結果が、英語では通用しない場合が多くなってしまいます。

例えば、「前置詞」という概念が日本語にはなく、助詞という概念を無理やり、転用して考えざるを得ないので、適切な使用までには非常に大きな努力が必要になったり、範囲の指定についての概念も異なっており、「~以上」という場合、「more than 3」では3は含まれないので適切ではなく、「3 or more」と言わなければ、大きな問題に発展してしまう恐れがあります。

このように、あらかじめ日本語と英語のように言語的距離が離れている言語間において学習を行う場合には、単に語の意味を一対一に対応させるような単純なやり方では効果的な習得は不可能となります。 そのため、特にこのような場合には、応用言語学を活用することで、効果的な英語教育につなげる必要があるわけです。

具体的には、日本人が効果的に英語を学ぶプロセスを確立するためには、まずは文法を正攻法で身に付けさせます。そして、身に付けた文法を駆使して、自ら「文」を作成し、それを実際にコミュニケーションツールとして使用する環境を確保します。

そこで、実際に文法を駆使して作っただけの「文」では、意味としては通じたとしても、「不自然」な場合が多々あることに気づかせます。 この気づきに対処するために、本書で紹介されているように、応用言語学の要素である「意味論」や「語用論」などの知識を応用して整理・納得することが重要であると感じました。

著者は、特にこれらを個別的に取り上げるのではなく、これらの知識を体系的に学ぶ機会を提供することが、日本人のコミュニケーション能力の向上にに役立つと主張されていますが、私も本書を読み、その知識に少しだけ触れただけではありますが、その通りではないかと感じているところです。    

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