日本人と英語

日本人の英語とデータ(その2)

2016年1月20日 CATEGORY - 日本人と英語

英語ニーズ                

 

 

 

 

 

 

 

今回も前回に引き続き、「『日本人と英語』の社会学」に関して。

前回は、「日本人は本当に英語ができないのか」という命題について考えてみましたが、今回は「日本では本当に英語ニーズは高まっているのか?」という、これまた「前提」の「前提」というべき命題について考えてみたいと思います。

ちなみに、この命題に関するデータ分析結果は以下のようなものとなっています。

(1)2000年代の5つの調査データを分析した結果、仕事での英語使用ニーズが増加した形跡はなかった。

(2)むしろ、2006年から2010年にかけて「過去1年に少しでも英語を使った人」が明らかに減っている。

(3)仕事での英語使用減少が顕著に生じたのは景気の状況によって英語使用機会が左右されやすい就労者である。

つまり、「英語使用ニーズの増加」という説明は少なくとも日本社会全体には決して当てはまらないという「事実」がデータ分析結果として浮かび上がったということです。

この結果には、正直非常に驚きました。

私も、日本における英語の必要性自体は、日本人全体に広がっているかどうかは議論の余地があるとしても、確実に上昇していることは間違いない事実だと思っていたからです。

著者は、この事実の説明として、「英語を重要視する少数の例外的な企業の動向を日本社会の平均像と誤認してしまった結果だと考えられる。」としています。 そして、この言説が、実態と乖離しているにもかかわらず、ここまで日本の社会に良く浸透している理由を以下のように述べられています。

「「ビジネス界にとって『英語ニーズの増加』という前提を受け入れておくのは都合がいい」というものだろう。グローバル企業であることはプラスの企業イメージを持つ。したがって、英語ニーズの増大を喧伝し、それに対応している自社の姿勢を示せば、株主や消費者に大きなアピールになる。同様に重要なのが、この言説はビジネス英語の教育を学校教育に肩代わりさせる大義名分になる点である。なぜなら、社会全体で英語ニーズが増大していると強調し、英語の必要性が普遍的になっていると訴えれば、従来は企業内教育として行われていたビジネス英語教育を社会全体の問題として概念化できるためである。」

続けて、

「政府にとっても、『英語ニーズの増加』言説は都合がよい。なぜなら、政府の経済政策や産業政策の失敗の原因を英語ニーズの増大のせいにできるからである。つまり、『企業や就労者の英語力が低く、グローバル化に対応できなかったから経済が停滞した』という『弁明』が成り立つのである」

データによる事実分析というところまではいいのですが、その分析結果の読み解き方には少々誇張が多く、なにやら陰謀説のような感じがるような気もしないでもないですが、、、(笑) とは言え、多くの日本企業とその社員が、TOEICの点数自体に拘泥して、その後ろにある「英語を使って仕事を遂行する社員を育成する」という真の目的を見失いがちだという事実があります。

そして、見失い続けていられるということは、逆を返せば、実は『英語ニーズの増加』という事実は存在しないという考えも成り立つのかもしれないとふと思いました。

しかし、ランゲッジ・ヴィレッジに社員を送ってくださる会社さんの多くは、私たちが常に主張する「英語を使って仕事を遂行する社員を育成する」という真の目的に共鳴してくださる「英語を重要視する少数の例外的な企業」であると考えます。 ですから、我々はこれからも、そのような会社さんの「ニーズ」にきちんと応えていきたいと思っています。

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