ここがヘンだよ日本企業の英語研修 その1
2015年9月16日 CATEGORY - 日本人と英語
先日、企業英語研修のスペシャリスト千田潤一先生による「ここが変だよ日本企業の英語研修」というタイトルのセミナーを受講してきました。
私自身も、恐縮ながら、一般的な企業の英語研修については指摘するべきところが満載であることについては弊社のサイト等様々なところで明らかにしてきています。
これだけ世界的な競争力があるとされている商品サービスを抱える日本企業において、どうして英語研修についてだけはここまで突っ込みどころ満載なのかということについては、非常に大きな謎だと思ってきました。
千田先生は、その問題について非常に分かりやすくまとめてらっしゃったので、二回に分けてそのことについて書こうと思います。
日本の企業そしてその社員が英語研修を効果的に行うことができない理由、それは「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」ができていないことに尽きます。
今回はまず、「彼を知り」について。
これは、多くの企業と社員さんが「英語ができるようになる」ということがどういうことであるかを理解していないということです。私も何度もブログ等で指摘をしてきていますが、「ビジネス英会話の講座はありますか?」という発言がその例として挙げられます。
ビジネス英語などというものがあるのであれば、ビジネス日本語が存在しなければなりませんが、そのような認識はありません。日本語ができる人がビジネスをするだけです。そして、仮にビジネスの仕方が分からなければ、それはそれをトレーニングするという認識が必要なだけです。ですから、純粋に英語ができるようさせることを、英語研修の目的とすべきだということです。
これに関連して、TOEICの点数をあげるということを目的にしてしまう企業やその社員さんも多いです。千田先生は、TOEICの普及に当初から尽力されてきた方ですが、今回のセミナーで次のような発言をされたことに、「なるほど」と強く思いました。
「TOEICは、英語でどのくらいコミュニケーションが『できるか』を測定する試験ではなく、英語でどのくらいコミュニケーションが『できないか』を測る試験です。すなわち、ミニマムスタンダードを測定する試験と認識するべきなのです。」
このことは、私は千田先生のこの発言を聞くまでもなく、そのような理解をしていました。
私が理事長を務める一般社団法人日本実用外国語研究所は、スピーキング力のみに特化して評価するSEACTテストという試験を運営しているのですが、そして、SEACTテストの存在意義は、TOEICの存在意義を否定するものではなく、補完するものであるという主張をしてきました。その考え方は、「『卒』TOEICを実現する」というスローガンにも込められています。
これは、千田先生の発言と趣旨を一にするものだと考えています。
このようにまずは、「敵を知る」を社員に対して徹底させること。企業の英語研修はメニューとして何をするのかを決める前に、まず、ここのマインドセットの部分に、まとまった時間をかけるべきだと思います。