日本人と英語

英語はグローバル人材育成のツール

2018年2月16日 CATEGORY - 日本人と英語

前々回、前回と「最強の英語学習法」からトピックをピックアップして書いてきましたが、最終回の今回は、「英語はグローバル人材育成のためのツール」という著者の主張の意味について深く考えてみたいと思います。

著者は本書で、「私はグローバル人材に英語は必要条件ではないと言ってきたが、グローバル人材を育成するための手段としては有効だ」と仰っています。

まず、グローバル人材とは何かをはっきりしなければなりませんが、著者はその条件として以下の7つをあげています。

① 異文化への好奇心を強く持ち、異文化摩擦・衝突ができる。

② 自分の文化をよく理解し、誇りに思う。

③ 論理的思考力・批判的判断力を養い、自分の考えを的確に表現し、主張できる。

④ 他人を蔑視・差別しないで、共感できる想像力を持つ。

⑤ 民主主義の理念(自由・平等・公正・寛容)を実行できる。

⑥ 高い正義感と倫理観を持ち、職業として選んだ仕事で一流を目指す。

⑦ 既成事実・既得権益に安住せず「ゼロから挑戦する・創造する」姿勢をはぐくむ。

まず、注意すべきはこの中に、語学(英語)の理解や使用能力についての記述がないということです。

その点をとらえて、著者は、「私はグローバル人材に英語は必要条件ではない」と言っているのですが、一方でこの7つの条件をクリアするためのトレーニング手段として英語は有効だと仰います。

なぜ、日本語を母国語とする日本人にとって英語がグローバル人材の条件を備えるためのトレーニング手段になるのかを見ていきたいと思います。

著者は国際教養大学の特徴を説明する中で以下のように仰っています。

「ここでは、単に「英語を」勉強するのが目的ではなく、「英語で」何かを勉強することによって、日本語で学ぶ場合とは異なる文化体験をして、英語と日本語の違いがどこから来るのかを考えることで、論理によって問題解決を図ることが可能な人材を育成することが目的とされています。」

まさに、「異文化摩擦」「異文化衝突」を論理に結びつける力が英語で学ぶことによって身につくということなのだと思います。

そして、その「異文化摩擦」「異文化衝突」を論理に結びつけるということが具体的にどのようなことなのかについても著者は以下のように分かりやすく説明してくれています。

「華道も茶道もすべて英語で行われる。それぞれ地元で師範の資格を持ち、日本語はもちろん英語で講義できる人を講師に招いている。『わび・さび』も花器・茶器も英語で解説することによって、日本文化の特徴が普遍性のあるものへと転換され、日本人も納得できる。」

日本語だけで理解しているということは、もしかしたら完全な理解ではないのかもしれないという可能性を常に持つこと、また、それを英語でも解説ができるぐらいに理解を深めることによってはじめてその理解が「普遍性」を持ち始めるということを著者のこの言葉でものすごく、体感的に理解できました。

「英語はグローバル人材育成のツールである」という表現の本質は、民主主義の理念や正義感と倫理観は、その人間の世の中を見る目の「普遍性」に依っているため、まずは「異文化摩擦」「異文化衝突」で、自分の中の「理解」を疑うことから始める機会を、日本人が英語で学ぶことによって得られるということなのだと思いました。

 

 

 

 

 

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