日本人と英語

バイリンガルへのアンケート

2017年3月3日 CATEGORY - 日本人と英語

英語を駆使してグローバルに活躍する日本人スペシャリストに対して、どのように英語を身に付けたのかを直接聞くという興味深いアンケートを実施した企業の報告記事を見つけましたのでご紹介します。

バイリンガル・スペシャリスト人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 の、英語を使って仕事をこなす「バイリンガル・スペシャリスト」192人を対象としたアンケート結果の自社ウェブサイト内で公表された記事です。

その記事は こちら です。

このアンケートの質問事項は明確に二つです。

まず一つ目は、「英語を身に付けた主な手法は何ですか?」です。

英語を身につけた主な方法で最多だったのは、「1年以上の海外留学」(20%)で、1年以上の留学経験者は女性に多い傾向にあり、女性バイリンガルのうち31%を占めていました。男性は15%でした。

次いで多かったのが、「職場で身につけた」(18%)で、こちらは男性が22%と多く、「独学で身に付けた」も12%と男性の方が多い傾向となりました。女性はそれぞれ9%、5%でした。

その他の回答に挙がった回答として、「海外に転勤し、現地で恋人ができた」「(外国人の)職場の友人との会話」があげられていました。

これらを総合すると、英語を身に付ける手法として効果的なのは、「英語を使わなければならない環境に置かれる」ことだとこの記事では分析しています。

これについては、ランゲッジ・ヴィレッジの考え方とまったく一致しており、当然のこととは言え、自信を強められました。

そして、二つ目は、「最初に英語を勉強し始めた年齢はいくつですか?」です。

この質問については、私たちランゲッジ・ヴィレッジは、独自の考えを持っているので、非常に敏感に反応してしまいます。

まずは結果を一覧してみましょう。

1位:13-15歳 45%

2位:10-12歳 18%

3位:15歳以上 14%

4位:6-9歳 10%

5位:3-5歳 9%

6位:3歳未満 4%

この結果について、この記事では次のように分析をしています。

「現在職場で英語を使って働く方々の半数近くは中学校での授業が英語学習をはじめるきっかけになっています。ただ、英語習熟度別の回答では、自身の英語力を「ネイティブレベル」と回答した人は、33%が3歳未満、27%が3~5歳未満から英語学習を始めており、半数以上が5歳未満で英語に触れ始めていることがわかります。ネイティブレベルの英語力を習得するには、幼児段階で英語に触れることが大切かもしれません。学習を始めた年齢が上がるにつれ、「ネイティブレベル」とした回答者が減っており、早期の学習開始が鍵となるようです。」

前半の「現在職場で英語を使って働く方々の半数近くは中学校での授業が英語学習をはじめるきっかけになっています。」という評価については、ランゲッジ・ヴィレッジが提唱する「中学校三年分の文法と語彙をきっちり知識として持っていれば、あとはそれを『道具として』活用する環境をあたえることによって英語を使えるようになる」という考えと一致しています。

基本的に、「英語を話すことができるようになる」というプロセスは、ここから逸脱することはないということが、ここでも明らかにされていると考えて良いのだと思います。

すなわち、日本人が、「英語を話すことができるようになる」ためには、幼児段階で開始する必要などないということが言えるということです。

しかし、後半の「ネイティブレベルに達するためには幼児段階で英語に触れることが大切」という評価の理解は慎重にする必要があります。

ここで注意すべきなのは、この「ネイティブレベル」という表現が、おそらく、「発音の完璧さ」と「文化背景の理解」を含んだ「ほぼ完璧な言語運用能力」という意味で使用しているという点です。

そして、そのような非常に高いレベルについていえば、そのことは事実だと思います。

ですが、そのレベルに達する様にするために必要な「英語を使わなければならない環境」は、そうではない通常の「英語を話すことができるようになる」レベルとは比較にならないほど「濃い」ものではならないということです。

それは、両親の仕事の関係で海外に移り住むなどと言った偶発的な場合か、国内であったとしてもインターナショナルスクールで一般の日本の環境とは隔絶され、常に英語だけの生活を送るなどといった非常に大きな犠牲を伴って得られる環境を得られる場合に限られるからです。

それこそ、幼児英語教育と称して、週に一回の「英語の習い事」でそれが可能となるなどと決して考えてはいけないのです。

ですから、これらの環境を与えることを選択するというのは、一般的な教育の選択とは別の次元の覚悟が必要となります。そして、それらを安易に選択したことによる日本語での思考の基礎への影響というマイナスの面も考慮に入れる必要もあります。

そうであるならば、日本人として「英語を話すことができるようになる」ことを求めるのであれば、前半の「現在職場で英語を使って働く方々の半数近くは中学校での授業が英語学習をはじめるきっかけになっています。」という評価を参考にして、そのような努力をして行くことが最も現実的で適切な判断ではないでしょうか。。

 

 

 

 

 

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