日本人と英語

「中間日本語」という考え方

2017年1月4日 CATEGORY - 日本人と英語

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前回に引き続いて、書籍紹介ブログで紹介しました「英文秒速ライティング」から。

この本は英語教育そのものについての非常に貴重な気付きを私に与えてくれました。その中で以下のように書きました。

「紹介されているメソッドは、一見するとそこからかけ離れているもののように見えるかもしれません。しかし、よく見てみると、『文法(文型)の確立とともに、それを活用して会話につなげるブリッジの役割を果たす』という方向性が、本質的な二つのステップを外していないものだということに気が付きました。」

今回はこのメソッドを取り上げることで、その「ブリッジ」という考え方について考えてみたいと思います。

本書で紹介されている英語学習法というのは、前回ご紹介しました、二つの機械翻訳のうち、日本語英語間における翻訳に本来弱いはずの文法分析型であるYahoo翻訳の活用を提案しつつ、ただし、その日本語を「中間日本語」という英語の文法のルールに近づけた表現の日本語に変換したものを使用することで、かなり確証の高い英語を導くことで英語学習につなげるというものです。

この「中間日本語」という概念に触れた時、私は本当に素晴らしい概念だとすぐに感動したのですが、それはなぜかと言えば、既に次のような経験をしていたからなのです。

私の所属するまちづくり団体が、韓国の団体と姉妹提携を結んでおり、毎年お互いの地を行き来するという交流活動をしています。しかし、こちらには韓国語ができる人はいませんし、あちらもほとんど日本語ができません。

そんな中、毎年一人しかいない通訳さんをフル活用しながら、やっとの思いで意思の疎通をはかってきていたのですが、ここ数年その苦労が解消されつつあるのです。

それは、スマホに搭載されているLINEの翻訳機能のおかげです。

前回のブログで明らかにしたように、英語と日本語の機械翻訳のダメダメ感を知っていただけに、私としては、日本語・韓国語間の翻訳にも機械翻訳を活用する気は殆どありませんでしたが、メンバーの多くが「LINEの翻訳機能が素晴らしい」と言って、使い始めたのです。

そして、実際にその翻訳の精度と言ったら、本当に素晴らしいレベルなのです。最初は、LINE自体が他社に先駆けて本当に素晴らしいものを作ってしまったのかと思ったのですが、その素晴らしさは日本語・韓国語間の翻訳に限ってのものなのです。

つまり、これは、日本語と韓国語という文法的に近い言語間だったから、LINEの翻訳機能に限らず、どの機械翻訳であってもこのような素晴らしい結果が得られていたということでした。

この経験があった私は、日本語を英語の文法に近づけて、「英語っぽい日本語」に直した後、機械翻訳にかけるという「中間日本語」の発想は、とんでもなく理にかなっていると思ったのです。

しかも、そのために必要となる文法知識というのは、本当に限られています。極端な話、SVC, SV, SVO, SVOO, SVOC という5文型の仕組みだけだと言っても過言ではありません。

自分の言いたい日本語の文章をこの5つの型のいずれかにはめ込むようにすることを、まずは練習するだけで、自分の言いたい英語がほぼ間違いなく入手できるということです。

この練習にはほとんど時間はかかりません。おそらく、丸一日かける気になれば、ほぼマスターできるはずです。

これさえマスターしてしまえば、あとは自分の作りたい日本語に対応した英語がかなり高い確率で出てきますし、自分自身が文型を理解しているわけですから、その出来上がった英文を確認することは、非常に効果的な学習になるというわけです。

このあたりのことについても、私自身、「二泊三日で中三文法を血肉にする講座」の冒頭30分で、「英語は文型が基本的に3つ(SVOO,SVOCの二つはその場では出さないため)しかなく、このことを理解してしまったら、英語の8割をわかってしまったのと同じくらいのインパクトを持つ」と熱を込めて訴えていますので、考え方が非常に近くうれしくなってしまいました。

私たちランゲッジ・ヴィレッジは、英語が苦手な日本人の皆さんに、1週間から2週間という圧倒的短期間で英語習得という目標に到達させることができるという意味で、従来の英語学習の常識から言えば、革命的なことだと思っています。

しかし、それでも、その時間を確保することができなかったり、モチベーションを保つことができなかったりというケースもないわけではありません。

例えば、シニア世代に近づくまで英語とは無縁できたものの、会社の中で責任ある立場となり、実質的に英語を使用する必要性が出てきてしまった方の多くが、そのチャレンジ自体を諦めてしまっています。

これは、このような方々が、「そのハードルはそこまで高いものではない」と思い、英語学習に対して希望をもって第一歩を踏み出すために大いに役に立つ方法ではないかと思ったのです。

まさに、英語学習の底辺レベルから、英語を自在に操るレベルまでの「ブリッジ」に他ならないと考えます。