日本人と英語

思い込みと挫折の関係

2015年10月21日 CATEGORY - 日本人と英語

思い込み    

 

 

 

 

 

  前回に引き続き「『達人』の英語学習法」という本についての考察です。 そのテーマは、英語学習における「思い込み」です。 「自分は英語の劣等生だから」「英語は日本人にとって難しい言語だから」「読めるんだけど、聞けないんだ」「日本人にはLとRの区別など絶対にできない」など、否定的な思い込みを持つ人が多く、これが学習に影響する危険性についてです。

著者は、次のように述べています。

「ある研究によると、否定的な思い込みが、自己申告の英語力判定と密接に関係していることが分かっています。つまり、『自分は英語が苦手なんだ』と思いこむと、その人は、自分の英語力も低めに見積もるというわけです。」

ところが、続けて次のようにも指摘しています。

「しかし、面白いことに、この否定的な思い込みと実際の英語力判定テスト結果との相関を調べてみると、両者の間に相関がなかったというのです。つまり、本当に『思い込み』に過ぎなかったのです。人は、否定的な思い込みを持つと自信を喪失し、学習意欲が低下し、集中力なども途切れがちになります。すると、もう後は悪循環で、結果として英語学習に挫折してしまうことになります。だからこそ、否定的な思い込みは早めに打ち砕いておく必要があるのです。」

ちょっと、分かりにくいですよね。

否定的な人は自分を低く評価するがそれは実際の評価とあっていない。つまり、実際にテストをしてみると、英語力は自己評価より高いことが多い。それなら、いいじゃん!と思うからです。(笑)

ですが、もう少し、著者の意を汲んでこのことを理解しようとすれば、思い込みと実態は短期的には一致しないが、その思い込みが、自信を喪失させることにより、挫折につながるので、長期的には一致する方向に向かっていくという理解でしょうか。

確かに、これは私の経験的理解からも共感できるような気がします。

ランゲッジ・ヴィレッジにおいてもっとも成長が速いタイプが、(基礎知識が同一レベルだとすると)明らかに、おしゃべり好きのポジティブな考えの持ち主だと感じるからです。

著者は、このような思い込みを打ち砕くために必要な心得として以下のような提案をしています。

「『まことしやかな俗説、あるいは少人数の偏った経験則にまどわされない』『データが科学的な方法で蓄積されていないことは信じない』、こういった姿勢を持つことが何よりも大切です。」

ただ、面白いことに、この説明のすぐ後のコラムで「お酒を飲めば発音がうまくなる?」という俗説の真偽について以下のように紹介しています。

「今から30数年前の研究によれば、程度な量のアルコールを摂取すると学習対象の外国語の発音が良くなったと報告されています。そして、過度にアルコールを摂取すると今度は発音が悪くなったというわけです。その後、この研究が広く引用され、『適度なお酒は学国語の発音に良い』という説が確立したように思われました。しかし、この研究を行ったチームの一人が、のちにデータの解釈に問題があったことを認め、両者の間には関係が見いだせなかったと研究結果の解釈を変更しています。したがって、残念ながら、一杯飲めば外国語の発音がうまくなるというのは、経験的には正しいように思えますが、今の段階ではまだ俗説の域を出ないようです。(一部加筆修正)」

でも、私個人としては、「肯定的な」 俗説は信じてみたい気がします。(笑)