日本人と英語

感情と言語習得の関係

2016年10月14日 CATEGORY - 日本人と英語

Business man holding up smiley face in front of hi

前回に引き続き、茂木健一郎氏の著書「最強英語脳を作る」からテーマを取り上げたいと思います。

今回は、「感情と言語習得の関係」です。

私たちランゲッジ・ヴィレッジのやっていることは、英語の基礎である中学三年分の文法と語彙を「知識」として頭の中に入れてはいるけれども、それを「会話」には結びつけることができていない方に対して、その知識を「生活の中で使用する」環境、すなわち「生活と英語の融合」を提供することです。

このことを、皆様にイメージしていただきやすくするように次のように表現することがあります。

「頭の中の引き出しにぐちゃぐちゃにとりあえず入れられている知識という『道具』をまず整理し、必要な時にいつでも引き出せるようにするために、引き出しを何度も出し入れして必要な道具を取り出すことを繰り返すことで、その立て付けを良くすること」

本書において著者は脳科学の見地から、私たちが発想したこのイメージに非常にマッチする考え方を紹介されていましたのでご紹介いたします。

「言語というのは感情によって引き起こされる感覚と非常に深く結びついています。というのも、相手が痛みを感じているのを見て共感し、かわいそうだと思うときの脳活動は、痛みそのものを感じる回路が活動しているわけではありません。脳の中には、痛みそのものと、痛みによって影響を受ける感情の部分があるのです。そして、この影響を受ける感情を「共感」すなわち追体験できるわけです。言語というのは、この追体験と非常に深い関係があるので、英語を習得する時にも、言葉によって引き起こされる感情を自分で追体験するというのが有効だと言えます。本当に『アイラブユー』というときの気持ちを追体験してみると、その一回使ったフレーズは決して忘れないということです。元々、記憶というのは偏桃体という感情の中枢と、海馬という記憶の中枢が深く結びついているので感情を強く揺さぶられたものは必ず記憶されるのです。だからこそ、2001年の9月10日に起こったことは全く覚えていないのに、9.11のテロの映像はたいていの人は忘れることができないのです。」

このことから、著者は英語学習、特に「会話」のトレーニングには感情表現を多く伴う「演劇」のようなドラマエデュケーションが有効だと言います。

ここで私たちの発想の話に戻るのですが、ランゲッジ・ヴィレッジが提供する「英語と生活の融合」は、まさにこの感情表現を多く伴うドラマエデュケーションの極みだと思うのです。

人間が1~2週間生活するということは、その中で「喜び」「恥ずかしさ」「悩み」といったありとあらゆる感情が表出してきます。その中で、日本語を一切排除し、英語だけで生活するということは、まさにそれらの感情と英語という言語を結び付けることに他ならないわけであって、その結果、「使える英語」の記憶定着に最も有効に機能するのだと思います。

私が「立て付けを良くする」と表現したのはまさにこのことです。

従来の日本の学校英語教育が「使える英語」という観点から評価されてこなかったのは、「お勉強」としての教育にとどまっていたからです。だとすると、日本人に「使える英語」を身に付けさせるために必要なことは、その従来の学校教育を全否定することではありません。

「お勉強」としての知識を頭に入れることは、全体に必要な土台作りです。この上に、その知識と感情とを結び付ける工夫が足りなかったのだと反省し、どうしたらそのようなことを学校教育の枠内でできるのかということを考えるべきなのです。

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