日本人と英語

英語の歴史 その2

2014年8月13日 CATEGORY - 日本人と英語

語彙について

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回の記事に引き続き、「英語の歴史」について。

今回は具体的にそれぞれの項目(文法・語形、発音、語彙)ごとの変化の推移における面白いエピソードをご紹介します。

■文法・語形について

文法について歴史を振り返るに特筆すべきことは、活用や変化の排除です。

英語の祖先はドイツ語の一方言ということですが、ドイツ語は今でも、活用や性別など非常に変化に富んだ文法構造を維持しています。

それに対して、現在の英語で変化するのは、①名詞の複数、所有格、②代名詞の所有格、目的格、③形容詞、副詞の比較級、④動詞の三人称単数現在、過去、過去分詞、現在分詞、⑤助動詞の過去に限られています。

また、18世紀になるまでは、英語は助動詞というものを持っていませんでした。例えば、Went he? とか I  know not.のようにただ、主語と同市の位置を入れ替えたりnotを付加するだけでよかったのです。

ところが、18世紀以降は、助動詞の出現によって複雑さは増しましたが、その代わりに固定的な語順を獲得したのです。

この語順の固定化と先述の変化の排除によって英語が非常に論理的で、扱いやすい言語となったといえると思います。

■発音について

こちらについては、書籍紹介ブログの該当ページで紹介しておりますので こちら をご覧ください。

英語はその構造や性質をして世界言語になるべくしてなったといってもよいくらい学習しやすい言語だと思います。しかし、この発音だけは、その非論理性を未だに有しているといえます。

また、イギリス英語とアメリカ英語という表現がありますが、その最大の違いとして発音が取り上げられます。

アメリカ英語は16~17世紀初めのエリザベス朝の英語を源とします。

その為、イギリス英語はそれ自身変化をしているためアメリカ英語のほうが逆に古い形を保つ場合があります。とはいえ、本家はあくまでイギリス英語のため、第二次世界大戦まではアメリカ人もイギリス英語にあこがれを持ち、イギリス英語に近いボストンの英語は威厳を備えていました。

しかし、アメリカが世界経済の中心になるにつれてテレビ、映画、活字を通じてイギリス英語に逆に影響を与えるようになっています。(とはいえ、私個人としては、この違いなど日本人が英語を外国語として使用するにあたって取り上げるべき程の大きな差はないと考えています。)

■語彙について

語彙については、英語の歴史の中で様々な言語との接触・融合によってそれらの言語から多くの語彙が借り入れられました。

ちょうど、大和言葉しかなかった日本語が漢語を導入することで圧倒的に多くの語彙を増やすことに成功し、しかも、それは学術語彙を中心に経済社会の発展に貢献することにつながったのと同様の流れを持っています。

前回の記事でも紹介しましたが、現在の日常よく使われる英語の語彙の割合としては本来語が60%、フランス語が30%、その他が10%という割合なのに対して、語彙全体で見ますと下の図のように、本来語は1/4以下という状態です。

以下に英語が他の言語の語彙からの借り入れに依存しているかが分かります。

語彙

 

 

 

 

 

以上見てきた限り、英語という言語は、歴史的に他の言語との関わり合いの中でその価値を高めてきました。

多言語を同時に学ぶ言語学習者に対して、英語だけでも大変なのに頭が混乱しないのだろうかという意見もありますが、このように見てくると、殊、英語という言語の理解を深めるためには、ヨーロッパ言語を複数学ぶ限りにおいては非常に効率的かつ効果的なやり方なのかもしれません。

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