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「いい戦略」とは

2014年6月11日 CATEGORY - 代表ブログ

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皆さん、こんにちは。

このブログで何度も書いていますが、経営学者の中で私が最も尊敬する人は一橋大学の楠木建教授です。

理由は かつての記事 に書いてありますのでここでは触れませんが、最近もう一人尊敬できる経営学者に出会いました。

早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授(写真)です。

教授は、もとボストンコンサルティングの日本法人社長をつとめられた方なので純粋な意味での学者かどうかは疑問ですが、少なくとも現時点でのお仕事は経営学者です。

先日、金融機関の勉強会で朝から晩まで一日かけて内田教授に「経営戦略」の話を聞くというとても贅沢な機会を得ました。

以下のような著書も出されていて、従来型の経営学に収まらない楠木教授のようなストーリーとしての経営戦略を語られていますので非常に面白いです。是非、お読みいただければと思います。

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異業種競争戦略

教授の講義の中で非常に印象に残り、思わず書き留めてしまった内容があります。それは、「いい戦略」とはどういうものかという話です。

教授曰く、「いい戦略」とは、他社もその戦略の有効性が分かっており、マネをしたいと思っているけれども、実際にはどうしてもその戦略をとることができない戦略だそうです。

その例として、ジョンソンアンドジョンソンの「リーチ」という毛の部分が普通の歯ブラシに比べて小さい歯ブラシをあげられていました。毛の部分が小さいため、奥歯の奥までしっかり磨けるというわけです。ですから、発売と同時に大ヒットします。当然、花王やサンスターなどの日本のメーカーも追随するかと思いきや、いつまでたっても追随しないのです。

ジョンソンアンドジョンソンの「リーチ」に何か特別難しい技術が使われているわけでも、法律的に守られているわけでもありません。花王やサンスターもちょっとした製造工程の見直しだけで、奥歯の奥まで磨けるという価値を自社の商品にももたせることができるわけですから、当然マネしたいと思うはずです。でも、その戦略をどうしてもとることができないのです。

その理由は、花王やサンスターの歯ブラシよりも歯磨き粉の売上のほうが圧倒的に大きいという売上構成です。

つまり、歯ブラシの価値を高めるためにブラシの部分を小さくしてしまうと、自分たちの売上の大部分を占める歯磨き粉の消費量が半分になってしまって、いくら歯ブラシの売上が向上したとしても会社全体として大きなマイナスとなってしまうということです。

このようなことを最初から見越すことで自社の競争優位を長期的に維持することができる可能性をもった戦略がまさに「いい戦略」だということです。

戦わずして勝つ戦略は今も昔も「いい戦略」であることに変わりがないようです。まあ、戦略すなわち戦(いを)略(す)ということですから、そもそもそういうことかもしれませんが。

経営学における理論は、とかく後から考えるとそのようになるという後付理論がほとんどだといわれます。しかし、たとえそうであったとしても、このようなストーリーがしっかりした「いい戦略」といわれるものに後からでも多く触れることは、戦略立案のセンスを磨くために大変有用だと思います。

また、ストーリーをきっちりを浮かび上がらせる、すなわち事象の背景にある「本質」を抽出して誰もが理解できるように整理することこそ、経営学の価値の本質だと改めて理解しました。