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デフレとインフレのはざまで

2014年4月16日 CATEGORY - 代表ブログ

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皆さん、こんにちは。

デフレと不況で失われた10年、20年といわれて苦しんできた日本経済ですが、大都市を中心にアベノミクス効果が出てきているというニュースを聞くようになってきました。

しかし、そんな雰囲気の中で逆に苦しむ業界があるようなのです。

飲食業界です。

牛丼280円、ハンバーガー100円など驚異的な低価格で商品を提供しながらも過去最高益をたたき出すという魔法のようなことをやってのけてきたこの業界で大きな異変が起こっています。

アルバイトの数が足りず時給が高止まり、店員不足で店を維持できない大手チェーンが続出しているのです。実際に、ワタミでは全店舗の一割に当たる60店舗を閉鎖、ゼンショーのすき家では24時間営業を断念し営業時間を短縮しなければならない店舗が出てきているようです。

ここ10数年での外食産業、特に大手の価格設定は日本経済全体を覆ったデフレとは異次元のすさまじいものでした。しかしその価格破壊によって一気に成長してきた大手チェーンがあることも事実だと思います。

この成長モデルに問題があったのではないかという疑念はある外食大手の経営者の次のような言葉にも表れています。

「安い賃金での雇用と大量出店で利益を出してきたのがこれまでの外食業界。人材争奪戦により、こうした成長モデルは限界にきている。」(日経MJ紙)

景気が良くなって、お客さんの数は確保することができているわけだから、普通ならそのお客さんに対応する人間の賃金を上げることで労働力を確保すればよい。これは、経済学の基本である需要と供給の話です。

しかし、100円や280円という価格が消費者の頭に当然のこととして染みついてしまっているので、この販売価格を上げることはそう簡単ではない。したがって、原価の中の人件費の割合をあげることはできない。しかも、追い打ちをかけるようにデフレからインフレに転換しつつある中で原価の中の人件費以外の項目も膨らんできているという状況なのです。

構造的に価格に弾力性が全くない中で、コストは容赦なく圧力をかけてくるという逃げ場のない戦いを強いられています。

牛丼、ハンバーガー、すし、焼肉、、、いろいろなジャンルの外食が、一昔前に比べて圧倒的に手ごろになっています。これは明らかに大手チェーンの大量出店戦略の恩恵です。

しかし、その戦略の根本の部分が揺らいでいるということは、私たち消費者がこの恩恵を受け続けることができなくなる恐れがあるということです。

280円でこの牛丼が食べられるということはどういうことなのか、われわれ消費者もこの現象・事実についてあまりにも問題意識をもたなすぎたのかもしれません。

この構造を作り出してしまった当事者は、ワタミやゼンショーなど事業者だけとは言い切れないような気がします。

私たち消費者も、ものの価格というものがその価値を反映したものであるという経済の大前提をもとに消費活動を行う必要があると「神の見えざる手」に諭されているような気がしてなりません。

 

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