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マイルドヤンキーは幸せか

2016年4月15日 CATEGORY - 代表ブログ

マイルドヤンキー                  

 

 

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

前回に引き続き「合理的なのに愚かな戦略」からのトピックを書いてみます。

それは、昨今のマイルドヤンキーという新語に代表される「若者が内向き」という現象が良くないことなのかどうなのかというトピックです。

海外留学、海外赴任を極端に嫌い、内向きもっと言えば自分の育った地元の中で全て済ませてしまうことを「心地よい」と思う若者の割合が増えている現状を悪いことだする論調が大勢を占めています。

このことに対して、著者はむしろ良いことではないかと考えているようです。

それらを悪いことだと考えているのは、いわゆるモーレツ世代と呼ばれる高度経済成長期を経た中高年の人々ですが、彼らは現在の成長著しい新興国の国民が今経験しているように、大きな「快感」を感じていたわけです。

何もない状態から、モーレツに働くことで著しい成長を実現する時、人々の脳内では、ドーパミンと呼ばれる物質が分泌され、高揚感を感じられたのです。

しかし、この高揚感という快感は、成長が加速するときにのみ得られるものであって、成長がストップすると感じられなくなってしまうという性質があります。つまり、昨日より今日、今日より明日の成長が成立する時にだけ感じられるもので、持続性のないもの、すなわち麻薬などと一緒の性質をもっているのです。

この性質をフランスの経済学者のダニエル・コーエンの以下の言葉を引用して表現しています。

「~だから、大きな幸福感(著者はこれを幸福感ではなく、快感と言い換えたほうが適切だと指摘していますが)を得る時というのは、大変残念ながら日本も経験したように、すべてを破壊する戦争などの後だ。とても大きな苦しみの後、30年間にわたって幸せ(同上)を感じることができる。」

つまり、生まれたときには既に日本の経済化成熟化していて、ゼロ成長、もしくはマイナス成長が当たり前の世代には、そのような「快感」を得られるような環境は与えられていないのです。

逆に言うと、そのような環境はコーエンの言うように「すべてを破壊する戦争などの後30年」にしか得られない例外的環境であり、マイルドヤンキー世代の置かれている現在の環境のほうが、持続性を考えた場合、一般的なものだと考えるべきだということです。

なるほどと思いました。

ただ一方で、マイルドヤンキーの皆さんが感じる「心地よい」環境は果たしてゼロ成長、もしくはマイナス成長の下で持続性があるのかということも考える必要があると思いました。

それは、彼らの多くが、まだまだ元気な親世代と同居、もしくは近隣に生活し、そのような人々の協力のもとに一定水準以上の生活を享受できているからこそ、現時点では「幸せ」だと思えているわけであって、その前提が崩れたときにはどうなるのかを考えなければならないからです。

彼らが「心地よい」環境を持続的に享受するためには、やはり「(一定の)経済的独立」と「地元愛」を両立させることができる個人としての力を身に付ける必要があります。

その方法が何なのか、残念ながら本書には書かれていませんでした。

私も、地元で生活する経済人の一人として、この問題への「合理的」な方法について改めて真剣に考える必要があると感じました。