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「国際化」VS「グローバル化」

2017年7月31日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

このところ、何度も「国際化」と「グローバル化」の違いについて書いてきまして、つい先日のブログ記事「アメリカファーストの極み」の中でも、そのことについて触れました。

このテーマについて、ぴったりのニュースが2017年7月14日の日経新聞にありましたのでご紹介します。

「米調査機関ピュー・リサーチ・センターが実施した世界37カ国を対象とした調査で、米大統領を信頼すると回答した人の比率は、オバマ前政権末期の64%から22%に低下した。また約62%がトランプ氏は「危険」、74%が同氏を「信頼していない」と回答した。イスラム圏の一部の国からの入国を制限するというトランプ氏の方針を支持したのは、3人に1人に満たなかった。同氏の貿易や気候変動に関する政策を支持するのは5人に1人足らずだ。国別にみると、信頼感が最も急低下したのは米国の緊密な同盟国だった。しかし米国以外の国の政府は、米国を無視したり孤立させたりできないことを理解している。米国は依然として政治や経済、軍事的影響力を世界中に行使できる唯一の国だからだ。」

このような状況を見切ってか、トランプ大統領は、世界はアメリカ中心に回っているのだと言わんばかりの「グローバル化」的態度を崩す気配をまったく見せません。

つい先日も、地球温暖化防止のための世界的な枠組みであるパリ協定からの脱退を宣言したばかりです。

このような「グローバル化」に対抗して、「国際化」的態度できちんとしたトランプ包囲網を作り世界の将来のために勇気をもって動くことができる国はないのかと、自分たちの勇気のなさを棚に上げて批判してしまいそうですが、この記事にかかれた事実はかすかではありますが希望が見いだせるような気がしました。

「連邦制をとる米国では分権化が進んでいるため、州知事と大都市の市長は国のレベルで存在しない法律を施行する大きな権限を持つ。その法律が大統領の優先事項と矛盾するとしてもだ。米国の州政府が独自の政策をとる能力を持つことを示すのに、気候変動以上の好例はない。地球温暖化に国境はない。中国に次いで世界2位の温暖化ガスの排出国である米国の協力がなければ、世界は対応できない。そんな中、中国の習近平国家主席は数日後、カリフォルニア州のブラウン知事をまるで国家元首のように北京の人民大会堂に迎えた。ブラウン知事は「カリフォルニア州も中国も温暖化対策を主導している」と語り、トランプ大統領の意向にかかわらず野心的な排出削減目標を設定すると約束している。」

目先の経済発展を何よりも最優先するのは、近視眼的な大衆の支持を得るためです。そして、トランプ氏の大統領の座をつかむという目論見は成功しました。

しかし、世界的な気候変動への対策は、長期的で、かつ一国の思惑だけでは対処できないな問題です。

まさに、「グローバル化」の視点ではなく、「国際化」の視点に立って、自国の短期的な欲望を抑え、他国の思惑にも理解を示し、統合的で実効性のある解決策を導きだす必要があります。

その難しい取り組みを、本来最も高いレベルに視点を合わせるべき、合衆国のトップではなく、一地方政府のトップが持てる権限をフルに活用して、対処する姿勢には、大きな希望を見出すことができます。

また、その地方政府と協力してこの難問に取り組もうとしているのが、あの中国であるということからも、世界情勢はまだまだ捨てたものではないと思えました。

人間は自分一人、そしてその集合体である自国だけでは生きられません。

それが強大な力を持った超大国であっても、自らの欲だけをベースに「グローバル化」を図ることのむなしさを理解する必要があります。

そして、そのような自分だけに関わる小さな欲を抑え、「国際化」によってより大きな欲を達成することの重要性を学ばなければなりません。

今日の100万円と50年後の1000万円では、どうしても前者をとりたくなってしまう個人ではありますが、その集合体としては後者をとることができる人類でありたいと思います。

 

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