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「教わる」力 その1

2016年1月6日 CATEGORY - 代表ブログ

本の山                

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。 ここ数か月で一番の本に出会いました。 「全ての『学び』の前に鍛えるべきは、『教わる力』である。」です。

著者は本書の冒頭で、近年日本においては、ビジネス書やセミナー、研修などが充実してきたことから日本人の「教える力」は非常に向上してきたのにもかかわらず、一向に日本人の生産性は高まっていないという事実を明らかにしています。そして、その理由が日本人の「教わる」力が不足していることだというのが本書の趣旨です。 著者はその中でまず「教わる」力を技術面から以下のように5つのステップにまとめています。

①現在地の確認

②目的地の設定

③ルート候補の設定

④ルートの選定

⑤ルートの決定

これは、いわばカーナビゲーションのシステムと同様です。つまり、「教わる」技術を身に付けていないために、成果というゴールに最短距離で進むことができない。余計なところに寄り道をして、成果を出すために遠回りしてしまうのが日本人だと言います。

私にとっては、著者のこの指摘は非常に腹落ちするものでした。特に、②目的地の設定が日本人の最も苦手とするのもだと私は確信しています。 具体例を挙げるとすれば、私の専門分野である英語研修に関して、企業の多くが昇進の目安としてTOEICの点数を設定しています。これは、①の現在地の確認にとっては、なかなか便利なものだと思います。 しかし、例えば、課長昇進の目安が700だと定めることが本当に②目的地の設定に適しているかというと、かなりの問題があると思うのです。

本来企業が、TOEICを目安とするのはその点数自体に意味があるのではなく、課長として必要とされる英語でのコミュニケーション能力があるかないかということのはずだからです。 それなのにもかかわらず、多くの日本企業とその社員は、TOEICの点数自体に拘泥して、その後ろにある真の目的地を見失いがちです。 もうひとつの例として、日本の「ガンバリズム」文化があげられています。日本人は、「頑張る」こと自体を価値として見てしまいます。 生産に結びついたサービス残業ならまだ分かりますが、ただ、上司や同僚がまだいるから「頑張らなきゃ」という理由では、最短距離で目的地に到達するという③ルート候補の設定に完全に失敗しているわけです。

これら日本人の問題のほとんどは、「自分の判断軸」がないために、何が正しいのか、何が自分に必要なのかを自分で判断できないことに原因があると著者は言います。 私もその考えは正しいと思います。 本書の「教わる」力とは、まさにこの「自分の判断軸」を持つことだということになります。

次回は、ではどうすれば、「自分の判断軸」を作ることができるのかについて考えてみたいと思います。

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