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これからの世界をつくる仲間たちへ

2018年1月12日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

中高生のころ、「落合信彦」という作家に心を揺さぶられ、少なからず人生の方向性に影響を与えられた人は僕の世代では少なくないと思います。

自らアメリカでオイルビジネスに成功された後、国際ジャーナリストへの華麗なる転身をされ「豚になるな狼になれ」的タイトルで、世の中の仕組に流されるのではなく、自分自身の頭で考えて世の中を切り開いていくことの重要性を説く様々な啓発書や小説を出版されました。

私は、中学生から大学二年生でアメリカに行く時まで、彼が新刊を出版されるたびに必ず買って読みました。そもそも、アメリカ留学するという決断にも、少なからずその影響があったと思います。

その落合信彦氏の息子である落合陽一氏の著書「これからの世界をつくる仲間たちへ」を読みました。

彼は、公式には筑波大学の助教でありながら超音波を使って物体を宙に浮かせ、三次元的に自由自在に動かす技術など世界最先端の研究をすすめるメディアアーティストとして活躍されています。

コンピューター技術を使って、人間ができることをとことんまで追求するその活躍によって、「現代の魔法使い」とも言われるまだ若干30歳の若き研究者です。

このブログでも、何度かAI技術の進展によって、人間の仕事がAIにとって変わられてしまう云々の議論をしてきましたが、著者の中では、そのことについては完全に結論が出た上での議論を展開されています。

その結論とは、確実に「人間の仕事がAIにとって変わられてしまう」というものです。そして、大部分の人間はコンピューターの下請け的な存在となってしまうというものです。

今はAIにとって変わられてしまう仕事が「ブルーカラー」の仕事からと思われていますが、逆に「管理」や一般的な「判断」を仕事にする「ホワイトカラー」の仕事こそ、圧倒的なデータベースと計算を得意とするコンピューターのものとなります。

その結果、大部分の人間はコンピューターに「管理」されながら、コンピューターよりもなめらかに動ける「筋肉系」を活用した「道具」としての仕事をすることになるはずだと言います。

でも、それは社会の資源を最も効率的に配分した結果なので、生産性は格段に向上するわけで、それを「受け止め」さえすれば、そこそこ幸せなこととも言えます。

一方で、本書で著者が一番強く訴えているのが、AIの特異な「管理」や一般的な「判断」を超える「創造的専門性を持った知的労働者」としての働き方のススメです。

それは、「オリジナル」を作りだすこととも言い換えられるのですが、このことが実現できるのは本来的に極端に少ないクリエイティブクラスの人々に限定されます。

そのことを体感的に理解するために出された例が、IPS細胞の山中教授です。

「クリエイティブクラスの人間が解決する問題は他人から与えられるものではありません。彼らの仕事は、まず誰も気づかなかった問題がそこにあることを発見するところから始まります。山中教授は、誰かにiPS細胞を作ってくれと頼まれたわけではありません。もしそうだったとしたら、さほどクリエイティブな仕事とは言えないでしょう。その問題設定が存在していたのであれば、『総当たり戦』に強いコンピューターでも解ける問題かもしれないわけですから。」

すなわち、これからの時代、AIよりもいい仕事をすることを目指すのであれば、ノーベル賞級の人材がするような「問題の設定」を行うことを仕事にする必要性が出てくるということです。

ただ、著者がそのような働き方の重要性を訴えているということの裏には、今の教育の仕方だからそのような人材が限られているわけであって、そのような教育を受けることが当たり前になれば、今よりもずっと「オリジナル」な人材が増えるのではないかという信念があるということではないでしょうか。

父親と全く異なった道を進まれたように見えた著者ですが、「豚になるな狼になれ」と仰っていた父上と完全に重なって見えました。

 

 

 

 

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