代表ブログ

ゆとり教育と教育熱

2008年4月2日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

最近日本の小中学生の学習内容に触れる機会がありまして、その中のひとつに大変な驚きを覚えました。

現在では、「中学では二次方程式の解の公式は教えない。」ということをご存知でしたか?

恥ずかしながら私は今回はじめて知りました。

中国や韓国で、非常に厳しい受験戦争が社会問題となる中、日本においては逆にゆとり教育という勉強離れの問題が社会問題となりつつあるというのですからおかしなことです。

実は私はこの解の公式については非常に興味深い体験をしております。

私がアメリカに留学していたとき、一緒に大学の教養科目で数学をとっているアメリカ人の友人が、宿題で二次方程式の問題が出たということで私のところに質問に来ました。

日本人は数学が得意だと彼らは認識していましたので、私に英語を教えてくれる代わりに私に数学を聞いてくる友人は多かったです。

そこで、私は何の抵抗もなく、解の公式に当てはめ解を求めました。その間10秒ちょっとです。

その友人は私の解を導くスピードに驚き、どうしてそんなに早く答えられるのかときいてきました。

私は、何の迷いもなく解の公式に当てはめるだけじゃないかと教えたのですが、彼らはその解の公式の存在を教わっていなかったのです。

彼らは、私の解の公式という暗号解読システムに驚きはしたのですが、その後すぐ、「な~んだ、でもそれに当てはめるだけなら子供でもできるよ。日本人て不思議だね。これを暗記することに何の意味があるの?答えを導き出す試行錯誤にこの宿題の意味があると思うけど。」

という答えが返ってきました。

質問してきたから答えただけなのに、なんてやつだと少しカチンときた後すぐに「ガツーン」と金づちで頭を殴られたような気持ちになったことを覚えています。

数学という学問は、試行錯誤の上にその結果としての解の公式を自分で導き出すことが目的で、解を丸暗記の公式を使って導くことには何の意味もないのかも。極端な話、パソコンでやればいいのだから、ということに気づかされたからです。

このことは、アメリカ社会では買い物のおつりの暗算を多くの人ができないのに、ノーベル賞受賞者が日本と比べ物にならないほど多くいるという事実の意味を物語っているような気がします。

日本のゆとり教育が失敗したということがよく言われる昨今ですが、中国や韓国の教育熱の先に、アメリカのような教育にするのか、それともそのままずっと続けるのか、それとも日本のようなゆとり教育の失敗を参考にして、第三の方法を見出すのか、どちらにしても簡単な問題ではなさそうです。

これからの日本の教育はどこへ行くのでしょうか。

よそより、こちらのほうが心配ですが。

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