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クオリティ国家という戦略

2013年1月31日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

久しぶりに大前研一さんの本を読みました。

クオリティ国家という戦略」(これが日本の生きる道)です。

クオリティー国家、すなわち量ではなく質で勝負する国家です。

ですのでその対義語はボリューム国家ということになります。

前者の典型例として、スイス、シンガポールなどが挙げられ、この本の中でこの二つの国家の戦略や実例が数多く挙げられていました。

そして、後者の例がアメリカや中国のような国です。

今まで、日本もこのボリューム国家を目指してきており、2010年に日中のGDPが逆転するまでは実際に世界第二位のボリューム国家であったわけです。

しかし、第二位の座を明け渡して以降、その差は縮まるどころかひらき続け、さらに少子高齢化、財政のバランスの悪化等々により、その改善の可能性はほぼないと考えられるようになっています。

このような状況の中で、これから日本が世界の中で生き残っていくために必要な戦略が、筆者のいう「クオリティ国家」という概念です。

しかし、現在の日本の国家としての姿勢は、とてもその戦略への切り替えを目指していると言えるようなものではありません。

あくまでも、沈みかけた船で、ボリューム国家という目指しても限りなく到達することが困難な目的地へひたすら向かっているというのがその姿ではないでしょうか。

この本であげられているいわゆるクオリティ国家と言われている国々がとっている戦略は明らかにボリューム国家を目指している日本のそれとは異なります。

そしてそれは、あえて目指さなければ決して手にすることができないたぐいのものです。

言い換えれば、ボリューム国家を目指しながら、それが叶わなかった時におこぼれ的にクオリティ国家に収まるなどということは決してありえないということです。

クオリティ国家を目指すにはそのための「覚悟」が絶対に必要なのです。

この本の中で一番印象に残った部分を紹介します。

クオリティ国家のほとんどが、他のボリューム国家の隣や近くに位置し、そのボリューム国家の経済をしたたかに「利用」しているという部分に関する次のような指摘です。

「日本人の多くは中国が経済的に成功することをあまり快く思っていない。つまり、日本人は中国の発展を妬んでいる。そうではなくて、このように考えるべきではないだろうか。となりのお宅が、ビジネスで大成功して高級外車を2,3台購入したら、妬むのではなく心の底から喜ぶべきだろう。なぜなら、自分の家の土地を駐車場にして彼らに貸すことでお金を稼ぐことができるではないか。このような思考回路が今後の日本と中国の関係に求められる。」

まさにその通りだともいます。

そして、もしかしたらこれがこれからの健康的な日中関係の姿ではないかと思いました。

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