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デザインとは何か

2015年9月18日 CATEGORY - 代表ブログ

ロゴ

 

 

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

先週、「東京五輪のロゴの何が問題か」という記事の中で「よくわかる、なぜ「五輪とリエージュのロゴは似てない」と考えるデザイナーが多いのか?」というヤフーの記事をご紹介しました。

その記事の中で、そもそも「デザインとは何か」という根本的な問いに対して答えを与えてくれていたので今回はその点について考えてみたいと思いました。

この記事の中でデザインについて以下のように説明されていました。

「デザインの日本語訳は、装飾ではなく設計です。そしてデザインの本質は「課題を解決すること」と「新しい価値を提案すること」です。美しくすることも、使いやすくすることも、課題を解決するための手段(差別化、ミスを無くす、欲望の喚起等)にすぎません。」

たとえば、冒頭のランゲッジ・ヴィレッジのロゴは「禁止を意味する道路標識のなかに飛行機をいれたもの」です。このロゴはランゲッジ・ヴィレッジ設立当時、相談に乗っていただいた地元の広告代理店の方に作っていただいたものです。
 
私はその方との会話の中で、何度も何度もこの事業によって「解決すべき課題」と「提案すべき新しい価値」について語りました。それは、日本人には英語の知識が足りないから英語が話せないのではないこと。英語を話す環境さえ与えれば、日本人の英語は短期間で伸びるはずであること。そして、その環境は何も海外である必要はなく、国内で実現することができること。などです。
 
その話を聞いた上で、その方はこのデザインを提案してくださったのです。私は、初めてこのデザインを見たときに「はっ」としました。なぜなら、このデザインには、私が伝えたいメッセージが過不足なく込められていると思ったからです。
 
あくまでもこのロゴでやりたいことは、「海外渡航なしで本来学で得られる(以上の)効果を享受できる」というメッセージを伝えるという「課題解決」と「新しい価値の提案」の二点です。その二つのメッセージの伝達が何よりも最優先されており、「美しさ」などの要素の優先順位はずっと低いものとなっています。(かといって美しくないとは思っていませんが)
 
私自身は、この記事の説明を目にするまでは、「デザインとは何か」という問いについて論理的に答えることはできませんでした。しかし、このデザインをランゲッジ・ヴィレッジのデザインに採用すると決定した時の、私の思考の背後には確実にその論理が存在していたような気がするのです。
 
そのことを前提に今回の東京五輪ロゴ騒動を考えてみると、別の結果があったのではないかと思うのです。
 
というのも、私自身は、かねてから、「なぜ1964年の東京大会のものを使わないのか?」という疑問を持っていました。なぜなら、あえてそのロゴを再利用することによって「現在ちょっと元気がない日本が再びあの頃の元気を取り戻す」というメッセージを強烈に伝えられると思ったからです。実際に、そのような発言をされている有名人の方もいらっしゃいました。
 
しかしながら、実際には、オリンピック憲章によって、「オリンピックエンブレムは他のオリンピックエンブレムと明確に区別できなければならない」と明記されているようで、過去のエンブレムと同じデザインをもう一度使うとこの規定に違反となってしまうらしいのです。
 
そのことについては こちらの記事 をご参照ください。
 
そうであるならば、少なくとも戦略的に1964年のロゴをベースにして、その上に2020年らしさの何かを載せるというハイブリッドな方法をとったらよかったのではないかと思いました。
 
そうすれば、今回のような騒動に発展するリスクを極力回避することができたでしょうし、「現在ちょっと元気がない日本が再びあの頃の元気を取り戻す」というメッセージを日本国民と世界の人々に伝えるという「課題解決」と「新しい価値の提案」をするための「デザイン」の仕事を全うすることもできただろうと思うからです。
 
 

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