代表ブログ

トランプとリンカーン

2017年2月10日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

ドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国第45代大統領になってから、いや、なる前からですが、混乱が続いていますね。

でも、この混乱、よく考えてみると、選挙戦の時点から彼が公約に掲げ続けてきたことを、次々に実行に移していることで起こっていることなので、そう考えるととても不思議な感じがします。

それだけ、彼の掲げてきた公約というのは、あのように言っているけれど、実際に大統領になったら、どこかで調整をするだろうし、まさかそのまま実行には移さないだろうと大方のアメリカ人が考えていた証拠ではないでしょうか。

それほど、彼は頑固な有言実行の男だということでしょう。

先日、「リンカーン」という南北戦争中における第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの生き様を描いた映画を見ました。

ここで少し、リンカーン大統領と当時のアメリカの状況をおさらいしてみます。

「当時のアメリカは、南部は黒人奴隷によるプランテーション経営を維持し、北部は工業化に成功したことで工業製品の生産高を急速に伸ばしていた。これによって、アメリが合衆国という一つの国の中で、2つの地域がそれぞれ別の考え方を持つようになっていった。具体的には、北部を中心に奴隷制は国のために望ましくないという議論が大勢を占め、南部ではそれに真っ向から対抗するというものだった。実際に北部諸州はすでに奴隷制を廃止していたが、国の団結を維持するために、政治家は奴隷制に反対するときも中庸的な姿勢となり、南部との間で多くの妥協を生んでいた。そんな背景の中登場したのが、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンだ。彼は、「ばらばらになった家庭は立ち行かない」と主張して、連合国家としての合衆国はすべて奴隷州になるか、あるいはすべて自由州になるかを選択すべきとした。その後彼は強硬に奴隷制廃止に向けて進んでいく。南部はリンカーン率いる連邦政府との関係を維持できなくなり、遂には合衆国から南部の脱退ということになった。これが南北戦争の始まりである。」

この映画に描かれているのは、この南北戦争の北軍(アメリカ合衆国)を率いる最高司令官としてのリンカーン大統領が、戦争終結を最優先して、奴隷制維持を選択し南部(アメリカ連合国)との「妥協」をすべしとする多くの意見を抑え、あくまでも奴隷制度廃止を貫き通しながら、戦争に勝利し、アメリカ合衆国を再び一つにまとめることを優先した姿が描かれています。

映画全体を通して、彼の苦悩の表情と対照的に、頑なまでに自らの意思を曲げない有言実行っぷりが印象的でした。

そして、その印象は後に彼が暗殺されることを自ら予期し、それを受け入れているような表情を一貫して表現しているところから、強く感じさせたれるような気がしました。

そして、その頑なまでに自らの意思を曲げない有言実行っぷりは、どことなく彼と同じく共和党出身の大統領ドナルド・トランプに重なってしまいました。

多くのアメリカ人は、エイブラハム・リンカンとドナルド・トランプを重ねることを嫌うでしょう。

それは、彼にはそのような苦悩の印象は少しも見られないということからくるのかもしれません。

しかし、その男を大統領に押し上げたのがアメリカ国民であるということは、まぎれもない事実です。

そして、彼はエイブラハム・リンカーンのごとき「頑なさ」をもって、彼の当初から主張していた公約を次々と実行に移しています。

歴史はリンカーン大統領をしばしば、「アメリカ史上最も偉大な大統領」と評価します。

さて、民主主義に基づいた今回のアメリカ人の決定を歴史はどのように判断するのか。

これは世界中の注目すべきところです。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆