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企業はハイブリッドがお好き?

2017年9月27日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前の「留学は不利」と「留学生の怒り」いう二つのブログ記事で、企業がグローバルコミュニケーション力を持つ学生が欲しいと言いながら、日本の大学を卒業した学生よりもその可能性が高いはずの日本人海外留学経験者や海外からの留学生の採用に積極的ではないという矛盾について考えました。

その両方には、企業が求める本当のニーズとのマッチングがうまくいっていないという根本的な原因について書かれていましたが、その問題をきちんと解決して結果を出している立命館アジア太平洋大学についての記事がプレジデントオンラインにありましたのでご紹介します。

「立命館アジア太平洋大学は2000年に開学。地上と隔絶された大分県の辺境の地で約5800人の学生が学ぶ。しかも約半数を世界83カ国・地域の外国人留学生が占めるという文字通り日本屈指の国際大学である。しかし、それだけではない。開学10年余にして卒業生の多くが超難関企業に就職。旧来の伝統校や偏差値上位校に有利な就職戦線地図を大きく塗り替えようとしている。」

「約半数を世界83カ国・地域の外国人留学生が占める」というこの大学は、日本国内に存在する日本の大学の体をなした海外、しかも多様な国の大学と言えるのかもしれません。

実際に次のような結果が出ています。

「11年度の就職先には、新日本製鉄、三菱商事、武田薬品工業、電通といった一流企業がずらりと並ぶ。APUの就職率は95.1%であるが、難関の一部上場企業への就職率は約36%を誇る。ちなみに慶應義塾大学が約43%だ。慶應の入学偏差値は65~70であるのに対し、APUは50~55。偏差値を超えたAPUの人気ぶりが際立つ。」

このことが意味するのは、この大学には、企業が求める「グローバルコミュニケーション力」と「日本の企業への貢献」という二つの視点から見て魅力的な日本人学生と海外からの留学生を輩出しているということだと思います。

それを裏付ける企業のリクルート担当者の次の言葉が説得的でした。

「(この大学の学生が魅力的な理由の)1つは中国や韓国に限らず、アジアやヨーロッパを含めて幅広い国や地域の学生が集まり、特定の国に偏らない多様な人材が豊富であることです。2番目は日本語教育にも力を入れ、外国人の日本語レベルが非常に高い。3番目は市街から離れた修学環境に適した立地にあり、実際に非常に勉強しておられる。4番目はキャリア支援の事務局と学生との連携が非常に密であり、日本企業への就職に力を入れていることです」

また、このような環境では、海外の大学への留学のように、日本人学生がお客さんのように小さくなって過ごしているということがないので、海外からの留学生との関係によって学べるものがより多いと言えるのかもしれません。

「留学生と日本人学生が共同生活をおくる学生寮では個室と2人部屋があるが日本人は外国人との同居が必須であり、互いの文化を理解し合えなければ一緒に暮らすことはできない。時には対立も起こります。たとえば『時間にルーズだし、自己主張だけはしやがって』というのが日本人が抱く最初の感覚です。あるいは授業で4人のチームでプレゼンするとなると、日本人2人に細かい準備だけをさせて、留学生の2人がプレゼンのいいところだけを持っていこうとする。こうした人種や国境のカベを乗り越える経験をたくさんすることで日本人も一皮むけていく。企業の担当者もそういう点を非常に重視しています」

このように見てみると、この大学で学ぶ日本人学生も海外からの留学生も、実際にこのような国際的な環境で学んだというメリットを維持しながら、日本企業の独特なリクルートシステムに対しても完全にマッチした活動が行えるということになります。

そうなると、企業側もこの大学の学生を断る理由がないということかもしれません。

今まで長い間、学歴を否定し「自主性」や「国際感覚」を重視するという建前を掲げた企業も、結局は「学歴」重視に収まってしまうという批判がなされてきましたが、ここへ来て「偏差値を超えたこの大学の人気ぶりが際立つ。」という事実には大きな希望が見いだせるような気がします。

 

 

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