代表ブログ

公正な競争と公共の価値との衝突

2012年7月19日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

経営破たんし、公的資金が注入された日本航空が、破綻後2年で再上場するというV字回復を達成すると言うニュースがありました。

そのニュースが出るとすぐに今度は、その再上場に対しライバルである全日空が『待った』をかけるというニュースがクローズアップされました。

この問題の本質はこうです。

JALが好業績を実現できたのは、公的資金の投入や5200億円もの債務免除などの手厚い支援があったからこそです。

その様な支援によって身軽になった日航が全日本空輸に比べて圧倒的に優位となり、公正な競争をゆがめかねない状況が生まれているというのは、あっていいことなのかということです。

実際、12年3月期の日航の営業利益は2049億円で、過去最高益だった全日空の970億円の2倍を超え、また、法人税が免除される優遇措置により税引き後利益は全日空の7倍近い水準となっています。

経営の負担となる有利子負債は全日空の5分の1にとどまる一方、法人税免除は7年間続く見込みです。

このように国の支援で再建した企業が、自助努力を続ける競争相手よりも優遇されれば、結果的に不公平を生むことになるという全日空の『待った』には当然にして一理あるような気がします。

会社更生法の趣旨としては、清算処理をするよりかは、債務免除などによって更生させる方が最終的には社会的に見て、『価値』が高いと判断される場合に、制度として保護し、存続させることを『是』とするものです。

しかし、資本主義のルールにのっとって、地道に自らの努力を積み重ねてきているライバルがいる場合にまでも、その『価値』を認めてしまうということでは、地道に努力することを前提とする資本主義の根本を揺るがしてしまう危険を含んでいるのではないかと思います。

私は何も全日空の応援団というわけではありませんが、資本主義のルールの中で努力している一事業者として、この点については、少なくとも法人税免除の見直しや、債務免除の一定の再負担を求めることなどを改めて検討できる制度にすることの議論はすべきではないかと思います。