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小学校教職課程で英語必修化

2017年8月7日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

私は、今まで小学校英語導入に関連したいくつものニュースを取り上げ、基本的にそれらに対して批判的な意見を述べてきました。

例えば、このブログ記事をご覧ください。

その批判の理由は数多くありますが、その中で最も重要だと思われる理由に、「まだ論理的な考え方を日本語ですることに習熟していない段階の小学生に、英語という未知の言語システムを教えるという難しいミッションを、英語を教えるということを前提として教師になっていない小学校教師にさせるということ」というものがあります。

先日(2017年7月26日)の日経新聞に、この問題の解決に関わる記事がありましたのでご紹介します。

「小学校教員の免許取得を目指す学生に、英語を含む外国語科目の履修を教職課程で義務づける省令改正案を公表した。2019年度から、英語の指導法に関する科目の単位取得が必要になる。20年度実施の新学習指導要領で英語が正式な教科になるため、養成段階から教員の指導力を育成する。」

その上で、特に重要なこととして、以下の言及がありました。

「外国語指導助手(ALT)との協力や児童への英語での語りかけ方など、英語指導に関する科目(1単位)が必修になる。」

ランゲッジ・ヴィレッジにお越しいただく中学・高校団体の先生の多くがこの「ALTとの協力」について頭を抱えてらっしゃいます。

もっと直接的に言えば、「彼らは思うように働いてくれない。」と思われています。

そして、ランゲッジ・ヴィレッジの外国人講師の働き方を見て、ほぼすべての先生方が「どうしてこんなに上手に回っているのか?」と驚かれるのです。

もちろん、ランゲッジ・ヴィレッジは「彼らに上手に働いてもらうこと」をビジネスにしているわけですから、これは当たり前のことですが、初めからそのように上手に回っていたわけではありません。

開業当初は、講師に「欧米人はクリスマスやニューイヤーに働くことなど考えられない。」と言われ、閑散期に講師が雁首揃え、繁忙期にはいない、といったような冗談みたいなことがありました。

そこから、彼らに日本の社会の仕組や欧米にはない日本のよさ、そして、彼らが今いるのは欧米ではなく日本であるという事実を、信頼関係を醸成しながら理解してもらうことを続けてきました。

まさにこのことこそが、私たちにとって全方位的コミュニケーション能力の賜物というわけです。

ランゲッジ・ヴィレッジでの学校団体研修の効果は、生徒さんの英語に向かう姿勢に対してはもちろん、ありがたいことに、先生の気付きにもあるというありがたいお言葉を先生からいただいております。

ですので、この問題は小学校の教師の問題である前に、中学・高校の教師の問題であると考えています。

平成25年のデータですが、日本全国にALTは12,613人います。仮に、一人当たり年間350万円のコストがかかっているとすると、総額440億円です。

このマンパワーの価値は、それを指導・活用する日本人英語教師によって、大きく左右されるという視点が必要です。

つまり、彼らの活用がうまくいかないことのボトルネックは、彼らではなく、日本人英語教師にあると考えるべきと思います。

今回の小学校の教師に関する英語の単位必修についてのニュースは、今までは何もなかったわけですから一歩前進であることは確かです。

しかし、英語の担当となることを前提として教師となった中学・高校の先生でもこの点についてご苦労されているわけですから、小学校の教師に対して、「英語指導に関する科目(1単位)が必修になる。」ということでは、とても十分と言えません。

やることが決まった以上、少しずつでもよい方向で前進していただきたいと思います。