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日本の大学生が勉強しない理由

2018年4月6日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回、「オックスフォードからの警鐘」という本をご紹介して、日本の大学のグローバル化の動きが本来進む方向からかなりずれたものとなっている状況を説明しました。

本書は、日本の大学がそのような欧米のスタンダードを意識するのであれば、「英語化」よりも先に解決しなければならない問題があることを教えてくれています。

それは、日本の大学、特に文系の大学の「レジャーランド化」です。

なぜ、日本の大学生は勉強しないのか、これは自分の経験を踏まえても非常に不思議なことです。

本書において著者はこの理由を日本の大学が欧米の大学と比較して専門職教育の場としての大学院教育の整備に後れを取っていることを上げています。

アメリカの大学生が真剣に勉強するのは、学士取得、すなわち学部を卒業しただけでは、専門的職業に就くことが困難なため、出来るだけ評価の高い大学院を持つ大学へ進学するために必要な成績を収める必要があるからです。

そして、その必要性を感じているのは大学の学部生に限りません。一度社会に出てから自分のスキルとそれによって得られる職業のギャップに悩む社会人も同じ、いやそれ以上に感じることとなり、いったん大学を卒業した社会人の大学院への入学も当たり前の様に行われます。

このことは、日本もそうですが、アメリカの大学でも学士レベルでは企業はその専門知識に全く期待していないということを意味しています。

ただし、アメリカと日本との違いは、日本では専門知識は企業が入社後に時間をかけて授けるということを伝統的に行ってきている点です。そのため、企業が学生に求めるのは、大学学部での成績ではなく、大学入学時点での学習能力の高さ(その大学の偏差値)と面接によって把握する対人関係の巧みさということになります。

一方、アメリカではその専門職教育を企業が時間をかけて授けるのではなく、大学院教育が担っているということです。

したがって、出来るだけ評価の高い大学院に入るための競争は、日本の大学受験いやそれ以上に厳しいものとなるのは当たり前です。

つまり、この問題の本質は、大学における学習のインセンティブがあるかどうかということにすぎないのです。

その証拠に、すべての日本の大学生が勉強をしないということではなく、一部の大学生は世界の大学生に負けないくらい一生懸命勉強することに気が付きます。

それは医学部生や司法試験、公認会計士試験を目指す学生を見れば明らかです。

しかも、司法試験や公認会計士試験を目指す学生は、長時間学習するだけではなく、大学とは別に非常に高額なダブルスクールコストを負担してまで勉強します。

話を元に戻しますが、日本の大学が方向性は間違っていますが、「グローバル化」を意識しなければならなくなってきたというのは事実です。

そしてそれは、日本社会、もっと言えば日本企業の要請に大きく影響されてきているということだと思います。それは、日本企業に専門職教育を社員に授ける時間的余裕がなくなってきた事もそうですが、グローバルスタンダードで競争するための専門知識はもはや欧米の大学院レベルのものが必要となってきているということだと思います。

であるならば、今日本の大学に必要なのは、「スーパーグローバル大学創成支援」をはじめとする中途半端な「英語化」ではなく、欧米と同様の専門職教育の場としての大学院教育の充実だと思います。

 

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