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本音の批判

2017年9月15日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

昨今、世の中には他人を貶めるような発信が溢れています。

ワイドショーなどは、そのほとんどが芸能人をはじめとする有名人のスキャンダルを面白おかしく伝えています。

それらを見ていると、人間の本性は、まさに「他人の不幸は蜜の味」という言葉で説明されるように、人間は、他人と自分を比べてまだ自分のほうが「マシだ」ということに安心を感じる弱いものなのだと思ってしまいます。

しかし、「悪口」と「批判」というものをしっかりと区別する必要があります。

前者は、根拠を示さずにただ、その人間なり組織の悪い面を他者に伝えるのに対して、後者は、きちんと根拠を示したうえで、その人間なり組織の悪い面を分析的に他者に伝えるというものです。

もう少し言えば、前者はその行為の目的が自分の「感情」を満たすことであり、後者はその行為が自分以外の誰かに資する情報提供という性質を有しています。

後者では自らの名前を公にした上で行われることが通常で、その結果についても責任を負うことを前提として行われるものです。

ですから、前者と比べて、必要以上に「熱く」なることは少ないはずです。

ワイドショー的ではなく、きちんとしたビジネス書という形をとった上で、実際の経営者を名指しで「熱く批判」する非常に珍しい書籍を読みました。

残念な経営者 誇れる経営者」です。

本書の著者は、山田修氏。

20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任し、業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される方です。

本書が、印象的だったのは彼の「熱い批判」が、倒産をして経営者市場から退場させられてしまった人間だけでなく、まだ現在進行形で実践中の経営者に対しても向けられているところです。

倒産をして経営者市場から退場させられてしまった人間に対して批判をすることは、その負けの事実が確定していることから、まず反論を受けることはなく、言ってみれば誰でも「批判」することはできます。

しかし、現在進行形で実践中の経営者に対して、自らの名前を明らかにしながら「批判」することは、よほどの根拠と分析力がなければできることではありません。

彼にその「熱い批判」を可能とさせているものはやはり、自分自身が実績を残しているという事実に他ならないと思います。

本書は、経営の実践者による経営者に対する批判の書という非常に稀有な書籍パターンだと思いますし、それゆえ非常に貴重な存在だと思います。

 

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