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読書の危機

2015年1月14日 CATEGORY - 代表ブログ

図書館

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

かなり前になりますが、NHKクローズアップ現代「広がる“読書ゼロ” ~日本人に何が~」にて日本人の読書離れについての特集がありました。

それに先立ち、9月に文化庁が衝撃的な調査結果として、調査対象2000人のうち47.5%が、「1か月に1冊も本を読まない」と回答したという調査結果が発表されています。しかも、本分が学問であるはずの大学生でも、40%が1日の読書時間が“ゼロ”という別の調査結果もあるようなのです。

そして、失われた読書分の時間はいったいどこに行ったのかというと、「スマホ」を中心としたネット閲覧だと言います。

しかし、この問題をネット閲覧全盛イコール日本の「知識」そのものの危機という図式でとらえることは適切ではありません。なぜなら、そもそも読書そのものに意味があるわけではなく、読書は知識の吸収の手段であるからです。

つまり、IT技術の進展によって「読書」という知識吸収手段が、「ネット閲覧」というスタイルにシフトされているだけであって、知識吸収手段としての「効率性」と「効果性」が保たれているのであれば何も問題がないはずです。

おそらく、上記の二つの要素のうち、前者「効率性」は保たれていると言っていいと思います。というよりかは圧倒的に向上していると言っていいのではないでしょうか。だからこそ、ここまで急速に勢力を伸ばしているのだと思います。意外にもあの知の巨人、立花隆氏もその点について指摘する中で、「読書離れを否定するばかりではなく、スマホの向こう側、すなわちネット上にある全地球的な『知』にアクセス可能である現実を評価すべき」という発言をされていました。

ただし、問題は後者「効果性」にあると思います。

確かに、立花氏が指摘するように全地球的な『知』に圧倒的スピードでアクセス可能となりました。しかし、そこでの問題はその全地球的な「知」が権利関係の問題で「浅く広く」だれでもタダで拾える範囲に限定されがちだということです。

もちろん、電子書籍などお金を払って、今までの書籍のように「深い」知識にアクセスすることも物理的にはできます。しかし、多くのネットユーザーはネットの利用環境を確保するために毎月まとまったコストを負担します。そうすると、知識娯楽にかける予算は大体決まっているわけですから、アマゾンでの書籍や電子書籍などに充てる分が相対的に少なくなり、結果、ネット上のタダで手に入る「浅く広い」情報で済まそうということになってしまいがちです。

そうして、多くの人は「浅く広く」手に入る情報で済ますことに慣れてしまい、本来無料で「深い」知識にアクセスできる図書館などを利用することもなくなっていくのかもしれません。

私個人の話をしますと、ネットの活用時間が増加するにしたがって、読書をする時間も増加しています。それは、ネットによる情報収集の効率性を生かし、そのトピックにおける問題の所在を「効率的」に明らかにして、より「深い」知識にアクセスしようと思った時に、瞬時にアマゾンで購入できるからです。ですから、一つのネット記事を読んで3冊購入なんてこともざらになりました。

しかも、中古本も購入できるので、1円+送料257円の258円で手に入ることが結構あります。

自分としては自身の知識の吸収手段の効率性と効果性を両方高めることで、IT技術の進展の恩恵を受けていると考えています。この方向性を社会的に実現をするにはどうするべきかを考えていく必要があると思っています。

 

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