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100の思考実験 あなたはどこまで考えられるか

2014年11月30日 CATEGORY - 代表ブログ

CO2

 

 

 

 

 

 

皆さん、こんにちは。

哲学っていったいどんな学問なのですか?という質問にどれだけの人が的確に答えられるでしょうか。

私も、ふとそんなことを自問して、答えられない自分を発見してしまいました。すかさず、ウィキペディアで調べて見ました。ちょっと要約しますが以下のように書かれていました。

「哲学とは、そもそも古代ギリシアでは学問一般をさしていたが、近代の諸科学文化によって、諸科学の基礎づけを目指す学問、世界、人生の根本原理を追求する学問となった。」

もうすこし、体感的に哲学というものを理解できないかと考え、書籍を探してみたところいい本に出合いました。

100の思考実験」というイギリスの哲学専門誌の編集長が書かれた本です。

上記のウィキの説明のように哲学は「人生の根本原理」を追求する学問ですから、その課題は答えの出しにくい問題について考えるというものです。この本では、そのような課題を100個提示してこの学問を文字通り体感できるようになっています。

そのうちの一つ「一人の行為は全体に影響しないのか?」の項目をあげてみます。

「イレーナ・ヤヌスは飛行機が地球温暖化に与える影響についての研究をしている。一年間に商業飛行によって排出されるCO2はアフリカ大陸全体が排出する量よりも大きい。彼女はこの事実を聴衆に訴えようとしていた。そして、一回の長距離飛行は車で12か月間旅行するよりも空気を汚染することも話すつもりだった。地球を救いたいのなら、皆が飛行機に乗らない努力をするように促すべきだと結論付けるつもりだった。自分の発表に対して会場の喝さいを浴びる場面を想像していた時、その会場へ向かう飛行機の客室乗務員からワインを差し出されて、我に返った。これは偽善だろうか?」(一部加筆修正)

この例のように心にグサッと刺さる、しかし、そうかといって答えが明確に出ない、まさに哲学的思考実験が100個紹介されています。

その一つ一つの項目を読み進めていく中で、人間としての自分の無力感をものすごく感じさせられてしまう読書体験ができます。(笑)

このヤヌス女史の例でも、見方は少なくとも二通りあります。

一つは、彼女は偽善者であって自分の主張を正当化するのであれば、自らが糾弾する飛行機に乗ることなどあってはならないという考え。そして、もう一つは、彼女は自らの主張によって世の中を大きく動かして最終的に全世界の飛行機の利用を減らすことを目指しているのだから、自らが活動的に世界中に訴えることが不可欠であるため、そのプロセスにおいて飛行機に乗ることに矛盾はないという考えです。

どうでしょう。人間としての無力感を感じてしまう課題だと思いませんか?

ただ、この思考実験という作業が単に無力感だけ感じて終わる無意味なものかというとそうではないと私は思いました。

いくつもこのような課題を目の当たりにしていくと、だんだんと世の中全体と自分自身を別の存在だと認識し、無駄に思えてもいいから自分だけはその思考実験で頭を悩ませたという事実が必ずや自らの生き方に指針を与えてくれるような気がします。

つまり哲学って、結果を求める学問ではなく、このプロセスを与えることが目的な学問なのではないかというのが私の読後の感想でした。

 

 

 

 

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