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PPAPを通訳する

2017年6月19日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

英語業界の偉人をまた一人発見してしまいました。

先日(2017年6月4日)のTBS系列の番組「情熱大陸」において紹介されたフリーランス通訳者 橋本美穂氏です。

彼女のプロフィールは以下の通りです。

「1975年アメリカ生まれ。父親の仕事の関係で幼少期を東京で過ごし小学生で再びアメリカで5年滞在後、再び日本に戻る。慶應義塾大学卒業後、キヤノンに就職。9年間務めた後、日本コカ・コーラで企業内通訳として活躍。その後独立しフリーランスの通訳者・翻訳者そして通訳教育者として奮闘中の42歳。」

この経歴を見ただけでは、「普通」の通訳者なのですが、番組を見て本当に驚きました。

橋本氏の通訳フィールドは、ピコ太郎ライブのギャグを含んだトークの通訳、グローバル企業の会議室でのノンストップ通訳、1000億円を超える取引に繋がる投資家とのコンファレンス等々多岐にわたります。

「こんな通訳者見たことない!」

英語を仕事にしている私でも、思わずこんな言葉を出してしまう程の衝撃を受けました。

一番驚いたのは、ピコ太郎のライブで彼の「ビタミンC的に言うと、くやCー」というギャグを「It’s so bitter. It’s like vitamin C」と訳したところでした。

同時通訳という一瞬の勝負の中で、「悔しい=苦い=bitter」ということと、「ビタミンCはbitter=苦い」(日本ではビタミンCは「酸っぱい」というイメージですが、英語圏では「苦い」のが一般的のようです。)というイメージを掛けてしまうという凄技でした。

このようなギャグの世界だけでなく、ビジネスにおける様々な分野においても的確な単語選択を行い、タイミング的にも完璧な「同時」通訳を行います。

彼女によれば、そもそも英語と日本語は語順が違うわけですから、そのまま逐語訳していれば、「同時」に終えることはできないわけで、「同時」に終えるためには発言者の意図をイメージでとらえ言葉を「予測」することが必要になると言います。

このことを実現するためには、英語ができるだけでは当然足りません。日本語と英語の文化背景の違い、人間に対する洞察力、人と人との関係性を深く理解していることが重要です。

これによって、彼女は依頼者の絶大な信頼を得ることに成功しています。

その上で、この番組を見て一番感じたことは、昨今話題になっている「AI翻訳の進展によって外国語教育の必要性がなくなるのではないか」という心配はもしかしたら想像しているほどの脅威ではないかもしれないという可能性です。

もちろん、今のように多くの人間が外国語を何としても学ばなければならないという「強迫観念」にさいなまれるようなことはなくなり、英語業界が現在のような大きな市場としては存在することは難しくなるとは思います。

しかし、世界が一つの言語で統一されない限りにおいては、日本語と英語の文化背景の違いを理解し、人間に対する洞察力を駆使することで人と人との関係性を良好なものとすることができる人間の必要性はなくなることはなく、それを真剣に達成させようとするのであれば、自ら外国語を身に付けるという価値は存在し続けると思います。

むしろ、多くのケースがAI翻訳によって済まされてしまうことが当たり前になる社会においては、小さな市場におけるその価値は、より高まる可能性すらあると思います。

その時に、まさに「生活と英語の融合」を目指す環境を提供する私たちランゲッジ・ヴィレッジの価値も再認識されるはずだと思うのでした。

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