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問題児 三木谷浩史の育ち方

2018年4月8日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

楽天の三木谷社長の育ち方を追った書籍「問題児 三木谷浩史の育ち方」を読みました。

世間一般が抱いている彼の印象と全く正反対の「問題児」というタイトルに大きな違和感をもって読み始めましたが、少なくとも高校2年生までは本当に問題児だったようです。

しかし、「問題児」だったからこそ、今の彼があるのだということに納得させられました。

小学校・中学校そして高校2年生まで彼は勉強ができなかっただけでなくタイトルのとおり問題児だったようです。

それこそ、通信簿は5段階評価で2と3ばかりで、欠席日数は40日以上、遅刻は30回以上。中学でタバコを吸い、競馬、パチンコ、麻雀に入れ込んだといいます。

ただ、このことに対して経済学者で神戸大学の教授だった父親は勉強しないことについては一切叱らず、人の道に逸れそうな場合にのみ、その直前でストップをかけるにとどめたそうです。

父親の彼に対する望みは、「本質を見抜く」力だけは持つように育ってほしい、ただそれだけで、そのことについては「大丈夫だ」と確信できたという以下のようなエピソードが書かれていました。

「小学校二年生の授業参観に父親が出た時、算数の授業で浩史が他の4人の生徒と一緒に黒板でつるかめ算を解くことになった。他の4人はさっと問題を解いてしまったが彼だけがやたらと時間がかかっていた。教師は彼の鈍くさい解き方を無視して他の生徒の解き方をほめたけれど、父は彼が公式を使わずに愚直に計算して何とか正解にたどり着いていたことに気づいていた。」

このことをもって、父は息子が「自分の頭で物事を考える子」すなわち「本質を見抜く」力がある人間であることを理解し、それ以降も安心して彼を「劣等生」のままにさせて置けたというのです。

実は私もこのことの重要性を理解できるようになった経験があります。

それは、アメリカの大学で一般教養の数学の時間に二次方程式を解いていた時です。私は当然のことのように解の公式に当てはめて即座に答えを導き出しました。いつまでもガチャガチャやっていた他のクラスメートは私の解くスピードに驚いたようで、どうやったらそんな早く解けるのかを聞いてきましたので、「解の公式に当てはめるだけじゃん」と当たり前のように答えて、解の公式を得意げに教えてあげたら、彼らから「So, what? 」と一蹴されてしまいました。

彼らが言いたかったのは、解の公式に当てはめて答えることには何の意味もなく、ガチャガチャやって解答にもっていく過程そのものに意味があるわけであって、その理想形が解の公式を自ら導き出すことだろうと言うことでした。

私はその衝撃を今でも鮮明に覚えています。

「そもそも何のためにそれをやるのか」つまりは、物事の本質を考えることが私自身すっぽり抜けていたのだということを20歳になって初めて気づかされたような気がしました。

その最も重要なことを、彼は子供のころから父親によって習慣として身に付けさせられていたということです。

「そもそも何のためにそれをやるのか」が分かって行動するときの爆発的な力については、彼が高校2年生の時に「大学に行く」という目標を定めてからすすんできた人生をみると明確に納得せざるを得ないものがあります。

このことを三木谷氏自身が客観的に納得したエピソードとしてシンガポール大使のルイ・タックユー氏に「あなたは非常にまれなファンダメンタル・シンカーだ」と指摘されたことに対する本人の言葉として以下の様に書かれていました。

「要するに、通念や俗念というものから離脱して、物事を考えられる人というわけですね。楽天市場を創業したこともそうですし、FCバルセロナのスポンサードもそうですし、英語化もそうです。すべてのことを社会通念にとらわれずに決定できるということでした。ファンダメンタル・シンカーであると言われて『ああ、そうなんだな』と自分でも納得しました。」

彼が子供の頃もそうであったと思いますが、その時と比べても今の日本の教育環境はこのような人間を排除する方向に進んでいってしまっていることを心から危惧します。

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