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日本人の9割に英語はいらない #61

2014年6月29日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

9割

 

 

 

 

 

 

 

 

【書籍名】 日本人の9割に英語はいらない

【著者】  成毛眞

【出版社】 祥伝社

【価格】  ¥1400 + 税

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 この本は読者の反応が共感と反感が真っ二つに分かれる典型だと思います。実はしっかり読んでみると著者の真意はそれほど、毒づいたものではないことに気が付くのですが、やはり文体や話の進め方にどうしても違和感を持たれる方がいるであろうと予想されることがなんとも残念だと感じました。

ですので、本稿ではできる限り著者の真意を抽出できるようにご紹介できればと思います。

まず、タイトルの「日本人の9割に英語はいらない」ですが、逆を言えば、「日本人の1割に英語は必要」といっていることになります。落ち着いて考えてみますと、ここまでグローバル化が進んだといっても、日本において本当に英語が必要な人間の割合はどの程度かという問いの投げかけは一つの価値があると思います。

そして、この問いは「英語教育大論争」の平泉渉氏の主張にも通じるものがあります。

平泉氏は今から40年以上前に、日本における英語の義務教育を廃止して希望者のみを対象の選択教育へと変えることにより、日本人がまんべんなく英語ができない状況から、全体の5%程度が「しっかりとした英語」を使えるような仕組みに変えるべきだと主張しました。

著者は、この平泉氏の試案を引用し、40年前の5%から現在のグローバル化の進展を加味して10%、つまり1割の人間が「しっかりとした英語」を確実に使えるようにすべきだという主張をしているのです。

ただ、この点について著者のように10%にとどめるのではなく、20~30%くらいを目指すべきではないかというのが私の印象です。そして、この数値の違いに大いに関連すると思うのですが、著者は楽天やユニクロのすすめる「社内公用語化」を完全否定します。

それに対し、これも楽天の三木谷社長の「たかが英語」の書評でも書きましたが、私は楽天の「社内公用語化」は、会社の目的達成の手段として一定の評価をしています。

この私や三木谷社長と著者の認識の差は日本人の英語の潜在能力の認識の差にあるのではないかと思います。

三木谷社長は優秀な日本人社員であれば、(著者が完全否定する)学校教育によって英語の基礎は既に十分で、LVのように1~2週間というわけにはいかなくても、社内での様々な施策により2年程度の猶予があれば全社員の「社内公用語化」はそこまでの犠牲を払わなくても達成できると考えているのだと思います。まさに、「たかが英語」ということです。

そして、その後は「社内公用語化」を前提として新入社員が入ってくるわけですからこの犠牲は一時的なものに過ぎないということです。

それに対し、著者の主張は「英語」を要件とすることによって他の能力が機会原価と化してしまったらもったいないではないかという考えです。英語で門戸を狭めるのは本末転倒だという議論です。

ここまで来るとこの議論はその企業の経営者の価値観次第と言わざるを得ない気がします。ただ、私としてはグローバル化の程度を勘案するに日本人の英語の必要性は著者のいう10%ではなく、20~30%と考えています。このことから、日本社会全体ではなく、楽天やユニクロという個別の会社が自らの戦略の一環として「社内公用語化」を掲げることは自然の成り行きと考えてもよいのではという考えを持っていますが、皆さんのご意見はいかがでしょうか。