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英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし #32

2014年5月10日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

百害あって

 

 

 

 

 

 

 

 

【書籍名】 英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし

【著者】  渡部 昇一

【出版社】 徳間書店

【価格】  ¥1000+税

【購入】    こちら

著者の本書での主張をまとめると以下のようになると思います。

「英文法をきちっとやることは、日本語を深く理解することにるながる。日本語を深く理解することは、民族としての文化力を高めることにつながる。だから日本は他のアジア諸国と異なり短期間に近代化を実現することができた。よって、最近の英文法の軽視、オーラルに傾いた英語教育には百害あって一利なし」

私も、ほぼ九割がたこの考えに賛成です。ただ、それは100%ではなく、九割がたです。

もちろん、現在行っているこのような文法軽視、オーラル重視の英語教育には百害あって一利なしだという考えには100%同意です。そして、著者だけでなく、正統派の英語教育学者の多くが、このことを当然のように主張します。

しかし、それは正論ではあるけれども、ではなぜ、実社会がそちらの方向でこうも進みたがるのかということにもう少し目を配る必要があるのではないかと思うのです。

現実には、「グローバル化」という差し迫ったニーズがある中で英語の「ツール」としての側面を重視する必要が過去とは比べ物にならないほど高まっているからです。

今までは、学校英語教育は「無駄であるけど無駄ではない」、すなわち、ツールとしては使えるようになってはいないけれども知能向上、および日本語と客観的に向き合うことができることから潜在的な効用は十分あるとして実社会を納得させることができていたと思います。

しかし、グローバル化がここまで進展してしまうと、実社会が「無駄であるけど」という部分を許容する余裕がなくなってしまったと捉えるべきです。

その点で、本書(に限らず多くの正統派英語教育学者の近著)は残念ながらニーズそっちのけで「正論」に終始しているといわざるを得ないと感じています。

今の日本の英語教育に必要なことは、あくまでも「正論」を通しながら「無駄ではない」結果を出すことができる仕組みを言い訳無しで作り出すことだと思います。

このことは私の経験から言ってもこの議論をいつまでもずるずる引きずらなければならないほど難しいものではありません。

「無駄であるけど無駄ではない」英語教育の正論の上に少しでいいから「英語を使う」という機会をのせることだけです。あくまでも、正論の「上にのせる」ということをはずしてはいけません。

ただ、しつこいようですが、私も改めて著者の主張する「正論」を声高に叫ぶ必要はあると考えますので、最後に本書の最後にあった著者の言葉を引用して本書の書評を終わります。

「世界に日本の立場を発信できる人を一人でも多くつくり、育てること。それこそが英語教育の最大の課題なのです。そうした大テーマの前では、小学校から英語教育をしないとバスに乗り遅れるといった焦慮など何ほどの問題でもありません。」