おすすめ書籍紹介

英語の未来 #80

2014年10月15日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

英語の未来

 

 

 

 

 

 

 

 

【書籍名】 英語の未来

【著者】  デイヴィッド・グラッドル

【出版社】 研究社出版

【価格】  ¥2,500 + 税

【購入】    こちら

現在、英語が国際共通語としての立場を確立していることについては異論の余地がないとは思います。

しかし、その一方でなぜこれほど多くの人々が英語を使用するのかという理由や目的についての把握がいまだ不十分であるというということに着目し、英語の歴史を顧みながら充実したデータを基にその未来を予測するというのが本書の趣旨です。

その答えとして一般的なのが、産業革命後のイギリスによる植民地政策と第二次世界大戦後のアメリカの経済発展です。

すなわち、世界の中心的プレーヤーの使用言語が英語だという時代が最近ずっと続いているという事実です。

この一般論にはなかなか反論することはできないのですが、では今後例えばアメリカの経済支配力が低下したと仮定した場合、英語の支配力がそれとともに低下するのかというとなかなか答えは簡単ではありません。

なぜなら、英語の未来は、経済という要素だけではなく、政治、文化、民族などありとあらゆる要素が複雑に絡まり、またそれらがすべて「変数」として存在するために典型的な「複雑系」として捉えられるため、それぞれの要素ごとを細かく分析できたとしても、それをもとに全体を予測は非常に難しいからです。

しかし、英語の未来を予測する上でポイントとなるのは、今後も圧倒的な発展を継続的に遂げていくであろうアジア諸国の動きだと著者は考えているようです。ただ、このアジア地域の展開が英語の未来に大きな影響を与えることは分かっていても、その未来を一つに絞ることは合理的でなく3つのシナリオに絞るのが精いっぱいだとしています。

一つ目は、アジアにおいてこれまでの英語への投資が大きすぎてこれを捨て去るにはあまりにも犠牲が大きすぎるため、英語が国際共通語としてこれからも用いられることで現在の英語の立場が保持されるというものです。

二つ目は、中国の相対的なプレゼンスが一層高まり「大中華経済圏」がより強固なものとなるため、中国語の存在感が増してくることで、英語の立場が毀損されるとするものです。

そして三つ目は、アジアにおいては単一言語が支配力を持つことなく、それぞれの隣接地域言語の学習需要が高まっていくことで、英語の立場が毀損されるとするものです。

この本が書かれたのが1999年ということで、それから15年の歳月が流れた今現在の状態を見た場合、この三つのシナリオの中ではやはり、一つ目の英語の立場が保持されるというシナリオが進行中だと言えそうです。

しかし、一方でそれぞれの「変数」の動きは激しさを増していると言えると思います。

そのことから考えると、現在時点ではこのシナリオが進行中だとしても、今後のシナリオをこの一つに絞り切ることもまた、難しいと言わざるを得ないのが現状かもしれません。