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語学で身を立てる #58

2014年6月20日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介

語学で身を立てる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【書籍名】 語学で身を立てる

【著者】  猪浦道夫

【出版社】 集英社新書

【価格】  ¥720 + 税

【購入】    こちら

タイトルのとおり私自身も広い意味では「語学で身を立てている」人間だということになるのだと思います。そんな立場からこの本を読ませていただきましたが、著者は非常に博学でズシンと心に響く言葉が多く見受けられました。

例えば、

「教育産業は農業のようなもので仕事に愛情をもっていなければ続けられるものではありませんし、成果もすぐには期待できないものです。しかし、常に教えるための勉強は怠らず、心をこめて教えていけば必ず成果は得られるものです。」

この言葉には、不覚にも目頭が熱くなるものがありました。(笑)

このようなことを正面からおっしゃる著者だけに、一つ一つの指摘が厳しくも非常に論理が通っています。その論理性を伴ったひとつの指摘に以下のような外国語を使って外国語を教えるダイレクトメソッドについての言及がありました。

「日本の英会話学校や現地校などでは、この手法が基本なのですが、この手法は日本人が西洋言語を学ぶ場合には大きな効果が見込まれない。なぜなら、言語構造があまりにも異なるものであること、背景にある文化、ひいては表現の発想の違いが大きいこと、さらに語彙の関連性が少ないので語彙を覚えるのに大きな労力を要することがあるからです。」(一部加筆修正)

この点は、私どもランゲッジ・ヴィレッジの「環境の提供」というコンセプトに真っ向から反対の立場をとられているように見うけられるかも知れません。がしかし、ランゲッジ・ヴィレッジとしても実はこの著者の考えには大賛成なのです。

その証拠に、中国語超特急がまさにその考えに完全にのっとって運営されています。具体的には2週間の受講期間中、日本語と中国語の違いに熟知した日本人講師と中国人講師のコンビネーションによって日本語で教え、講座が進むにつれて日本語の使用割合を減らしていき、最終的には中国語のみにしてしまうという方法を取っています。

この方法が最も効率の良い方法であるとして主張することで、中国にいきなり留学する方法に対して警鐘を鳴らしています。

それに対して英語ではご存知のとおり、いきなり「日本語禁止」のルールを取っています。これは、入校の前提として「中学三年分の英文法の知識が頭に入っていること」という条件を満たした方のみを対象としているからです。幸いにして、日本人の多くが中学から6年間にわたり英語の知識を頭に入れる作業を徹底的に行っています。この点が日本人の中国語との関係と違う点です。ですから、合宿中に英語で複雑な英文法の解説をする必要はなく、使うべき道具がそろっている状態でそれらを使うことに徹する「環境」を提供するという形をとっているのです。

本書の中で著者ご自身も「文法もしっかり身につき、読み書きも相当なレベルの能力を身に着けた上級者が会話のブラッシュアップを目的にするには有効な方法です。」とおっしゃっています。

この「上級者」というレベル認定が著者と私たちランゲッジ・ヴィレッジで相当の違いがあるということなんだと思います。

しかし、私は実際に運営をしてみて、このレベル感は「高校卒業していれば誰でも」というわけでは決してないけれども、「高卒以上の方の50%くらい」を著者のいうダイレクトメソッドが効果を発する「上級者」としてしまって問題ないのではないかと体感的に思っています。

このような「感覚的」な相違はあっても、著者の主張する考え方については一つ一つに納得のできる良書だと思います。