カラン・メソッド「英語反射力」を鍛える奇跡の学習法 #40
2014年5月10日 CATEGORY - おすすめ書籍紹介
【書籍名】 カラン・メソッド「英語反射力」を鍛える奇跡の学習法
【著者】 坂本 美枝
【出版社】 東洋経済新報社
【価格】 ¥1500+税
【購入】 こちら
カランメソッドとは英語に対するパターン認識と処理を徹底して訓練する学習法です。
カランメソッドのレッスンでは、先生の質問に対して生徒が瞬時に答えることを繰り返すのに加え、先生が通常より速く喋らなければならないという決まりがあります。
通常のネイティブが話すスピードが1分間に150~180単語であるのに対し、カランメメソッドコースの先生はあえて1分間に200~230単語のスピードで話します。これによって無意識のうちに反射的に英語を返答できるようにする訓練です。
本書はイギリスのロンドンにあるカラン・スクールオブイングリッシュの創始者、ロビン・カラン氏によって50年以上も前に開発され、現在では世界で400校以上の語学学校で採用されているこのカランメソッドを詳しく解説するとともに、このメソッドと非常に親和性の高いフィリピンスカイプ英会話とを融合させた事例をあわせて紹介する内容になっています。
本書を読むことでカランメソッドをしっかり理解できるようになっています。
カランメソッドの本質、それは人間の調音器官(唇、歯、舌、咽頭など)の運動神経の訓練によって脳の神経を回路化して「英語脳」を作り上げることです。
これによっていわゆる「英語で考える」、「英語が口から自然に出てくる」ことを実現できるのです。
No.39で國弘先生の「只管朗読」をインプットとアウトプットの両方の効果が期待できる方法として紹介しましたが、このカランメソッドは、完全にアウトプットの訓練に特化した方法です。
また、「只管朗読」がたった一人で行うトレーニングであるのに対し、カランメソッドは相手がいるという条件で行われ、ペースメイキングおよび的確なフィードバックを期待することができるという意味でより贅沢な方法と言えると思います。
ただし、これらはあくまでも「訓練」であり、人と人との相互のコミュニケーションである「会話」とは別物です。
つまり、野球で言えばこれらは千本ノックです。千本ノックばかりでは野球の楽しさを知ることは決してできません。
ですから、これらの方法をコミュニケーションという目的を達成するための手段として理解する一方で、会話という「試合」の重要性を常に意識する必要があると思っています。それでなければ、英語の学習がすべて苦しい修行のようになってしまう恐れがあるからです。
とはいえ、アウトプットトレーニングが圧倒的に不足している日本人の英語教育にとって非常に有意義な方法のひとつであることは確信できました。
文責:代表 秋山昌広