日本人と英語

コミュニケーションの本質はシェア精神

2024年8月18日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「いつまで英語から逃げてるの?」からテーマをいただいて書いていきたいと思いますが、第一回目のテーマは「コミュニケーションの本質」です。

以前にこのブログでも話題にしたことがあると思いますが、私達ランゲッジ・ヴィレッジはレッスンの運営において「会話のレッスンが最も不人気問題」を抱えています。

受講者の皆さんには受講後にアンケートにご協力いただいており、その中に受講したレッスンの中で「最も良かったレッスン」と「最も悪かったレッスン」を尋ねる項目があるのですが、「最も良かったレッスン」にも「最も悪かったレッスン」にも両方に名前が挙がってくる珍しいレッスンが「conversation」です。

ただし、体感的には「最も良かったレッスン」としてが10%で、「最も悪かったレッスン」としてが90%といった感じです。

運営側としては、基本的に「最も悪かったレッスン」に名前が挙がるものについては、その理由を検討し、その理由が妥当なものであれば、そのレッスンを廃止して、新たなレッスンを開発するようにしています。

ですので、「最も悪かったレッスン」に何度も何度も名前が挙がり続けるこの「conversation」がそれでも廃止されずに生き残っているということは、私達ランゲッジ・ヴィレッジがこのような結果をもってしても「廃止する妥当な理由がない」と判断しているということになります。

ちなみに、アンケートには「最も良かったレッスン」にも「最も悪かったレッスン」にもその理由を書いていただくのですが、「最も悪かったレッスン」だった理由のほとんどが、「話題がなくて困ってしまった。強制的に話題を提供してほしかった。」というものです。

実は、この点こそが日本人の多くを英語を苦手にしている「元凶」だと私たちは考えているのです。

私たちがそのような判断をしている理由については以前に「日本語は『男は黙ってサッポロビール』」の記事でご説明していますが、その私たちの説明に加えて、もう一つの説明のバリエーションとして採用したくなるような指摘が本書にはありましたので以下に引用します。

「英語を学びたいという人になぜ英語が話せるようになりたいかを聞くと、ほとんどの人は話せたらいいからとか、仕事の役に立つかもという、なんとなくの理由を言う。『じゃあ、例えば誰とどういう話がしてみたいの?』たいていの人が『日常会話』や『ビジネス会話』とおおざっぱなことをいう。具体的なイメージがない。例えば、『趣味の話をしたいのか?』と聞いても、『いや、別に趣味の話は、、、』というし、『じゃあ、ビジネスのどんな話がしたいの?』と聞いても、『特にこれというのはないですね』と返ってくる。こんな人は、基本的な文法や単語を教えられても、やりたいことがはっきりしないから興味が持てない。コミュニケーションの本質は『シェア』だ。シェアしたいことがないのなら、そもそもコミュニケーションをとる必要がない。これを伝えたい、こういうことを教えたい、というコミュニケーションのねたがあるなら、それがどういう英語で伝わるのかを調べたり、先生に聞いたりできる。逆もまたしかりだ。『相手と何を話したいのか?』目的に具体性があればあるほど、英語は学びやすくなる。」

もうこれ以上ない解説でしょう。つまり、日本人は「なぜ英語を学ぶのか」という質問に自分自身で答えることができない状態で、英語を学ぼうとしていることこそが「元凶」なのです。

それに気づいてほしいがために、私達はこのレッスンを廃止にしないのです。

最後にその真意をもう少し丁寧に説明するために、以前のブログから要約引用しておきます。

「ランゲッジ・ヴィレッジにおいて、唯一、そのレッスンに特定のコミュニケーション要素に対する向上を意識せず、会話の総合力を引き出すために行うレッスンが『conversation』です。そして、このレッスンだけは、レッスンの主導権を講師ではなく、受講生に持たせようとします。だからこそ、あらかじめ不人気だと分かっているのですが、『conversation』というレッスン項目をなくさないことにしています。もちろん、この問題についてHPなどで注意喚起(こちらの3 をご覧ください。)をしつつ、全体のレッスンに対する割合は低く抑えてはいますが、レッスン自体はなくさず、しかもこのスタイルを崩さないのはそのためです。会話のテーマを提供したり、会話をスムーズに主導権をもって行うことも、コミュニケーション能力の一部、というか非常に重要な割合を占めているのだということに気付いてもらいたいためです。」