日本人と英語

スピーディに読む(聞く)ための先読術

2024年6月23日 CATEGORY - 日本人と英語

これまで書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の読み方 リスニング編」からテーマをいただいて書いていますが、第四回目の今回は、スピードをもってリーディング(リスニング)をするための対処法のご紹介です。

これはとりもなおさず文法知識を生かした「先読術」とでもいうべきものです。

「先読術」というと、相手の心を読む力とも捉えられ、ちょっと飛躍しすぎかと思われるかもしれませんが、そうではありません。

相手が英語という言語を使ってコミュニケーションをしている以上、文法的なルールに基づいて文を発信しているはずであるため、ある発言から次にどういう構造が来るかについてはかなり正確に予測できるという意味でのことです。

つまり、「先読術」とは「予測術」です。

本書ではその「先読術」を4種類に分類して解説されているので以下に要約の上ご紹介します。

 

①動詞による構造の予測

動詞の意味やタイプによってその後の構造が決まる英語の特性を生かし、典型的な動詞句のパターンと、それをとる代表的な動詞を把握することで理解の速度を上げることができます。

これは言ってみれば、第二回目でみた「英語は英語のまま受け入れる姿勢をもつ」の応用版です。

ある動詞が出てきた時点で、「何を?」「誰に?」と考える癖をつけておかなければならないというあれです。

それがかなりパターン化することができるようになっていますので以下、いくつかご紹介します。

◆ O to不定詞

persuade O to不定詞(Oを~するように説得する)

◆ O to be

consider O(to be) C(OをCだとみなす)

◆ O1 of O2

convince O1 of O2(O1に O2を納得させる)

 

②名詞による構造の予測

後置修飾が発達している英語の特性を前提に、後ろから複数の説明語句がついて複雑になりやすいような名詞句のパターンを認識し、後に続く修飾語句の理解の精度を上げることができます。

こちらも①同様、第二回目でみた「英語は英語のまま受け入れる姿勢をもつ」の応用版にあたるものです。

◆ 動詞派生の名詞

名詞translationのように動詞(translate)が名詞化してできた名詞は、上記②と同様、「何を?」「誰に?」と考える癖をつけておかなければなりません。

his translation of the book into English ← He translated the book into English.

他にも、conception of O as C(O をCとみなすこと)、inclusion of O1 into O2(O1 をO2に含めること)など。

◆ of +意味上の主語+動名詞句

名詞の中には、fact (事実)idea(考え) statement(発言) chances (可能性)など、その内容を主語と述語を伴う文に相当する形で表現できるものが多くあります。

the idea of the world getting more and more dangerous【動名詞構文】

他にも、同格のthat節を使って表現するthe idea that the world are getting more and more dangerousなど。

 

③文の先頭に長い主語が来た際の対処法

後置修飾語句を伴う名詞句、準動詞句、名詞節などの長くて重い主語が先頭に来ている文は、先頭の形からそれを見極めて、述語動詞が来るのを待つ。

◆ 後置修飾語句がどんどん追加されるパターン

The student who goes out into the world thinking that the only kind of English that she or he is ever going to encounter is the standard English is in for a shock.

studentを修飾する関係代名詞whoと同じくそれを修飾する現在分詞、またその中にあるEnglishという名詞を修飾する関係代名詞thatまでがこの文の主語studentを飾っており、それらを見極めながら待っていると、最終的に述語動詞 is をつかむことができます。

◆ 名詞節のパターン

That the scientific community remains divided on the issue of climate change highlights the complexity of the ongoing debate.

thatが名詞節を作る接続詞だと認識できれば、highlightという動詞がこの文の述語動詞であるということが簡単に分かります。

◆ to 不定詞句や動名詞句といった準動詞のパターン

Being able to speak English and effectively communicate complex idea is a valuable asset in the field of international business. 

Being able toの時点で「~できること」という動名詞句が主語になるかもしれないと想定し、toの後にそのできることの内容を表現する動詞句の形が来るだろうと予想できます。その動詞句の内容を理解しながらそれに対応する述語動詞を待っていると、isが現れるといった感じです。

 

④文の先頭に従属副詞節が来た際の対処法

文の先頭に従属副詞節が来ている場合には、接続詞のタイプからそれを見極めて、どこまで節が続いているかに常に意識を向け、主節の登場を待つという姿勢を保つことで安心して対処ができるようになります。

これについては4つの中で一番分かりやすいはずです。

そもそも、「従属接続詞」それ自体が分かりやすい目印となっていますし、基本的にはその従属副詞節の最後にはコンマが付くため、安心して「主たる文」を待つことができるからです。

 

以上をまとめると、これらのパターンが存在することを知ることで、安心して「来るべきもの」が来るのを「待つ」ということがポイントだということです。

 

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