日本人と英語

「ドメインエキスパート」という考え方

2016年9月7日 CATEGORY - 日本人と英語

ドメインエキスパート

前回から、「人生を変える英語力」の中からいくつかテーマをいただき議論していますが、第二回目の今回は、「ドメインエキスパート」という概念についてです。

前回の議論の中で、著者は自らが英語の母国語話者ではないという事実によって、英語圏の企業における活躍の幅がどうしても限定されてしまうという事実を受け入れてらっしゃいました。

それでもなお、日本人として英語を活用しながら一定以上の成果を出していくためにはどうしたらよいかという議論となります。

「ドメインエキスパート」を著者は以下のように定義しています。

「一般的にはネイティブと同じ土俵で会話をすることはできないが、専門分野の知識と自分の伝えたいことを確実に伝えられるだけの英語力を持つ人」

著者によってこの概念が示されたとき、私はランゲッジ・ヴィレッジの「ビジネス英語」に関するこだわりが頭に浮かびました。

ランゲッジ・ヴィレッジは、ウェブサイトにおいて「ビジネス英会話は存在しない」という考え方を以下のように明確に示しています。

「私たち英会話業者に期待されるべきことは、受講者がビジネスにおいてどのような状況におかれても、現在有している英語知識を駆使してしなやかに対応することができるようにすることです。一言でいえば、程度の差はあっても、自分自身で「英語ができる」と自信をもって言える状態にすることです。それさえ、実現されてしまえば、もはや多くの方が期待されるテクニカルタームなどは受講者が各々の必要性に応じて独自に達成されるものなのです。」

ランゲッジ・ヴィレッジでは、一般的な日本人が英会話学校に対してもつ欲求の中身について、明確な誤解が生じていると考えています。

彼らは、ビジネスで英語を使うのだから、我々に「ビジネス英語」を提供する様に要求しがちです。

それに対して、私たちは、「ビジネス英会話は存在しない」という主張によって明確にその要求を撥ねつけます。

日本語でのビジネスを考えれば明らかですが、ビジネスを行うときに我々は「ビジネス日本語」を使うでしょうか?商談の席で、その商品を販売するために必要な言葉をピックアップしてみてください。

初めは仕事と直接関係のない世間話をベースにコミュニケーションをとっていくはずです。そして、最終的に商品説明や具体的なプレゼンの場面に移行したとしても、その言葉のほとんどは、あなたの所属する業界、もしくはあなたの会社に特有な言葉ではないでしょうか。

そうなると、やはり、我々英会話学校に求められるべきものはただ一つ、「自分の伝えたいことを確実に伝えられるだけの英語力」を鍛えることだけなのです。

なぜなら、最終的に求められる「あなたの所属する業界、もしくはあなたの会社に特有な言葉」は、もはやそれは「言語」の問題ではないからです。

英会話学校の講師に、製造業の特殊な技術用語や医療関係の専門用語などを教えてほしいと求められてもそれに応えられるはずもないのは落ち着いて考えれば当たり前のことだと思います。

著者は、「ドメインエキスパート」になる重要性を強調していますが、その文脈の中では、彼の英語学校においても、その部分をトレーニングするというニュアンスはないように思います。

著者は、あくまでも、「自分の伝えたいことを確実に伝えられるだけの英語力」を身に付けさせるために、最高のサービスを提供するのは当然のことと考えられていますが、業界ごとの特殊な技術用語や医療関係のテクニカルタームをはじめとする「専門性」については、やはり各自が磨いていくことでしかないと考えられているはずです。

この話になると、どうしても熱くなってしまう自分がいます。(笑)

 

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