日本人と英語

語彙増強(ボキャビル)について

2024年12月8日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語上達完全マップ」からテーマをいただいて書いていますが、第五回目のテーマは「語彙の増強」です。

精読にしても速読にしても英文を読むのであれば、やはりこれはどうしても避けては通れない重要なものです。

とはいっても、著者が言う「語彙増強(ボキャビル)」は通常のそれとは異なります。

一般に、5000単語程度あれば英語で書かれたものは何であれ95%はカバーされると言われています。

そして、この5000語くらいまでは、今まで学んできたような通常の英語トレーニング(文法~プレ速読)の中で自然体で吸収されるべきもので、あえて単語を覚えるという姿勢をとる「語彙増強(ボキャビル)」は不要だと言います。

ちなみに、日本の大学受験をクリアするのに5000語、TOEICで高得点をとるのに8000語、ペーパーバックが楽しめるために15,000語、TIMEやNEWSWEEKが楽しめるために20,000語の英単語が必要とされているので、そうなると、ここでいう「語彙増強(ボキャビル)」とは、残りの5%までもカバーして、あらゆる英語書物を不安なく完璧に読みこなすという目的の下、すでに持っている5000単語の三倍の15,000語を覚えるための方法ということになります。

まあ、多くの人には不要と考えて良さそうですが、それでも「TIMEやNEWSWEEKが楽しめる英語」にあこがれを持たない人はいないと思うので、せっかくですので少しだけ覗いてみることにしました。

まずは、今まで自然体で十分だとされてきた単語の記憶を、あえて「語彙増強(ボキャビル)」と称して特別に対応するモチベーションとしては何なのかということですが、著者は次のように述べています。

「語彙レベルが5000を超えたあたりから何を読んでも知っている単語のほうが圧倒的に多くなってきますから、精読トレーニングなどに使用する読み物からリストを作っても集められる単語が少なく効率が悪くなります。そのために、自分がターゲットにするレベルの単語を集めた単語集を使ってボキャビルトレーニングを行うのです。」

なるほど、私自身、自らが主宰する「文法講座」において、単語は文脈の中で自然体で覚えるのが何より効果的だと教えているので、あえて単語を単語として取り上げて覚えることにかなりの抵抗感を覚えるのですが、まあ日本の高校生が読書の中でだけ漢字を覚えましょうということになれば、漢字検定の上位レベルの級にはなかなか合格できないことと同じなのだろうと思いなおしました。

では早速具体的に見ていきますが、まずは使用する単語帳のタイプについてです。

①文脈型単語集

②例文型単語集

この二つを挙げてどちらがいいのかと言えば、5000語を超えるレベルの人であれば間違いなく「文脈型」だと即答するはずですが、ただ前者のタイプ(Z会の速読英単語など)の単語集は、ほとんど5000語前後を対象にしたものしか存在しない(どんなに難しい文章でも5%未満しか出現しないので不自然なものになってしまうから)ので、必然的に「例文型」を使うことにならざるを得ないようです。

ですので、短文がなじみやすく単語のイメージがつかみやすいものを選択すべきです。

ちなみに、一つの短文に複数の単語が織り込まれている「DUO」という単語帳が時間と労力を軽減してくれており、お勧めだそうです。

続いて、「ボキャビル」の手順です。

単語帳全体をいくつかのセグメントに分割して、セグメントごとに「短文暗唱=瞬間英作文」と同じように以下の要領でサイクル法でマスターします。

具体的には、以下の要領です。

①例文を読み解く

例文の訳は意訳が多いので文の構造をしっかりとつかむように読み解いてください。この作業で無理に単語を覚えこもうとする必要はありません。例文の中での意味と使い方を理解した後、単語の語義をもう一度確認し、イメージを結ぶだけで充分です。

②例文を繰り返し読む

セグメント全体の例文を丁寧に読み解いたら2回目の読み解きに入ります。単語の意味はまだほとんど定着していないでしょうから、無理に思い出そうとせずに、単語の語義欄を見てください。続いて三回四回と繰り返し例文を読み解いていきます。この繰り返し作業は例文が難なく読めるようになるまで繰り返します。

③単語のサイクルを回す

例文が完璧に読めるようになったら、いよいよ単語だけのページを使ってチェックします。すぐに思い出せない場合は再び例文を見て確認してください。これを数サイクル回します。

④テキスト全体のサイクルを回す

全てのセグメントを終えたら仕上げとして単語集全体についてサイクル回しを行います。もちろん、単語について行うだけでいいでしょう。

ポイントは、二つ。

まずは、すべての語義を覚えようとしないことです。あくまでも例文との関連で済まします。覚えようとしてもどうせ無理なので効率が悪くなるからです。

そしてもう一つは、単語集は知らない単語が30%から60%の幅のものを選ぶということです。なぜなら、知らない単語の合間合間に知っている単語が入っていると潤滑油の役割を果たしてくれて、サイクルが回しやすくなるからです。

念のため繰り返しますが、この単語記憶は非常に高いレベルを目指す人のみ対象のものです。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆