
リスニングのルール
2025年2月27日 CATEGORY - 日本人と英語, 英語力テストについて
書籍紹介ブログにてご紹介した「一度読んだら絶対に忘れない英会話の教科書 」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目の今回が最終回です。
最終回のテーマは「リスニングのルール」です。
著者の言うリスニングのルールとはズバリ、「できるだけ聞かないようにすること」です。
「えっ?」と私でなくとも思うかと思いますが、著者は「通訳のプロですら、半分しか聞いていない」とおっしゃいます。
というか、「半分しか聞かない」という著者が教える「リスニングのルール」とは、プロの通訳スキルそのもので、もう少し丁寧に説明すると、全部を聴こうとするのではなく、重要なポイントだけを聴こうという意識に変えるということです。
この意識こそがリスニング力アップの秘訣となり、具体的には「スキップリスニング」と「サマリーリスニング」という二つの方法を取ります。
まずは、
◆「スキップリスニング」
これは、聞かなくても問題ないところは聞き流し、聞くべきところに集中するリスニング法です。
そのポイントは、「動詞」に注目することです。
実は私たちは、なにより動詞が分からないだけで話の筋がさっぱりわからなくなってしまいます。
例えば、「 I drove the car yesterday.」という文をリスニングしたとします。
その文の構成要素として「I(主語)」「drove(運転する)」「car(車)」「yesterday(昨日)」が挙げられますが、もちろんそれぞれ重要な項目ではありますが、大まかな言いたいことをつかむためには圧倒的に「drove(運転する)」が重要だと言えます。
実際、「I(主語)」「car(車)」「yesterday(昨日)」という三つと「drove(運転する)」の一つを比べたとしても、圧倒的に「drove(運転する)」だけのほうが情報として有用です。
なぜなら、前者三つでは何をしたかが全く分からないのに対して、後者はそれが分かる(しかも運転するのはおそらく車かなんかだろうと想像できる)からです。
そして、それよりもずっと有用性が低いけれど、誰が(主語)、何を(車)、いつ(昨日)などの付帯情報を拾っていくという順番です。
つまり、「SV SVO SVC+形容詞もしくは副詞」に要点が集約するということを理解し、そこに集中するということです。
続いては、
◆「サマリーリスニング」
「スキップリスニング」によって、付帯情報を含めた重要な要素を「聞き取れた」としても、それは「意味が分かる」とは別問題です。
上記では一文だけを取り上げていますが、これがいくつもいくつも連なってストーリーを構成しているわけですから、そのストーリー全体を把握するためには相手の言うことを頭の中でその意味をまとめる「要約」するスキルが必要になります。
これはなにも英語だけの話ではなく、日本語でも同じスキルが要求されます。ですから著者は、まずは日本語で練習することを推奨されています。
具体的には、第三者が聞いてもある程度まで理解できるくらいの文を考えることです。それは、日本語においても英語の「スキップリスニング」の「SV SVO SVC+形容詞もしくは副詞」に要点が集約するという思考を活用して、全体として要約することです。(その意味では実は日本語よりも英語の方がそもそも要約しやすい言語であると言えそうです。)
これが日本語でできるようになったら、英語でも同じことをするということです。つまり、これは英語の要約スキルというよりか、言語の要約スキルというべきものです。
そしてもう一点、音声を要約する上では、「文字」として英語を拾うのではなく、「絵(イメージ)」で考えることが重要です。
そのためには、最初のうちは一部を聴いたらいったん止めて頭に絵を描く、そして頭に絵を描けたら次の音声を聞いて、止めてまた新たに頭に絵を描く。この作業を繰り返します。
止めた個所ごとに絵を思い浮かべ、最後まで終えたら、今度は頭に浮かべた絵を言葉にしてみる。こうすることでどんな人でも無理なく要約ができるようになります。
確かに、絵(イメージ)で対処することができれば、リスニングのテストのときにメモすることに気を取られ、大事なところを聞き逃してしまうというような失敗を恐れる必要がなくなりますね。