日本人と英語

英語の「倒置」をマスターする

2024年9月3日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「サバイバル英文法」からテーマをいただいて書いていますが、第四回目の今回で最終回です。

最終回のテーマは前回の「クジラ構文」に勝るとも劣らない悪名を轟かせている「倒置」です。

著者は「英語の倒置」について次のように指摘しています。

「この倒置、きちんと習った記憶があるでしょうか。大抵の文法書では特殊な構文みたいなくくりで、完全にその他もろもろ的な扱いです。解説も他の項目と同様『こういう形になる』という結果の羅列になっているので、『倒置ってよく分からん』『知らなくても大丈夫でしょ』と思うのも無理はありません。」

な~んだ、これでは悪名高くて当然じゃん!として開き直りそうになりましたが、本書ではこれが実にシンプルに解説されていたので以下にその解説をまとめます。

まず、英語の倒置には次の二種類があります。

① 強制倒置:文頭に否定語が来たら倒置(疑問文の語順になるパターン)

② 任意倒置:順番が入れ替わるだけ(文型ごとにパターンが決まっている)

それでは、① 強制倒置から見ていきます。

否定語が来たら倒置が起こるということですが、ルールとしては具体的にはこんな感じです。

Never did he dream of seeing her in such a place.(そんなところで彼女に会うなんて、彼には夢にも思わなかった)

Rarely have I met such a smart man.(そんな賢い人にはほとんどあったことがない)

Only when you finish your homework can you watch TV.(宿題を終えてからでしか、テレビは見ちゃダメ)

否定語といっても、様々ありまして

◆ 完全否定:Not/Never

◆ 準否定:Little/Hardly/Scarcely/Rarely/Seldom

◆ 要注意:Only

著者が言うように、ルールが非常に明確で、分かりやすいですが、ただ最後のOnlyの例文については少し説明が必要かもしれません。

Onlyは接続詞whenを修飾する副詞で、∼の時「しか」ということになり、その後節の内容が続くので、なかなか倒置が来ず、最後にようやくcan you watchとなるので、迷子にならないためには、否定語を文頭に見つけたら「いつか倒置が来るぞ来るぞ」と意識をしておくことがポイントとなります。

続いて、② 任意倒置ですが、こちらは文型ごとにパターンが決まっているということなので以下順番に見ていきます。

◆ S V(副詞・句)→(副詞・句)V S

The bus comes here! → Here comes the bus!

◆ S V O → O S V

Tom loves the girl.  → The girl Tome loves.

◆ S V C → C V S

Tom is happy. → Happy is Tom.

◆ S V O1 O2 → O2 S V O1

The teacher told his student this story. → This story the teacher told his students.

◆ S V O C → S V C O

Technologies have made various discoveries possible. → Technologies have made possible various discoveries.

このように、すべて文型ごとに倒置の仕方は決まっているという意味で、強制倒置と同じく非常にシンプルなルールとなっています。

ただ、強制倒置にしても任意倒置にしても、なぜわざわざこんなことをするのでしょう?その目的が分からなければ、ルールが分かってもそれを覚える意味がありません。

本書ではこの目的を、「先頭で注意をひいて、後ろを強調する」ことだとしています。

強制倒置で言えば、文頭に否定語を出すことで「これからいうことは否定だよ」と伝えて注意を惹き、その内容を後から言うことでその内容自体を強調しています。結果的に強調されるのは文頭ではなく、文の後半以降です。

任意倒置も結論的には同じです。

つまり、発想は日本語と同じで、例えば「もうないよ、あんたのケーキ」というやつで、「もうないよ」で「何がないのだろう?」と注意を引き付けて、「あんたのケーキ」を持ってくることでこの最後の部分を強調するのです。

以下、各文型ごとに具体的に見ていきます。

◆ Here comes the bus!(ほら来たよ、バス!)

◆ The girl Tome loves.(あの子だよ、トムが好きなのは!)

◆ Happy is Tom.(幸せなのはね、トムだよ!)

◆ This story the teacher told his students.(この話を、先生は生徒にしました!)

◆ Technologies have made possible various discoveries.(科学技術によって可能になったのは、このような様々な発見だ!)

ここまできてようやくこの「倒置」の目的が以前このブログでも取り上げた「文末焦点」という考え方からくるものだということがよく分かりました。

 

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