
受信語彙の増強法①ネットワーク
2026年8月30日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「英単語「1万語」習得法 #372」からテーマをいただいて書いていく中で、前回までは「発信語彙」の強化に仕方について見ててきましたが、第6回目の今回と最終回の次回の2回にわたって「受信語彙」の強化の仕方について見ていきます。
と言っても、本書には「受信語彙」の強化の仕方として3種類の方法が紹介されており、その一つ目が「語源」でした。
ただ、この「語源」については今まで「英文法は語源から学べ#351」「英語は語源×世界史を知ると面白い#346」「ラテン語でわかる英単語#337」「教養の語源英単語#304」「英単語の語源図鑑#109」と数多くの書籍で確認をしてきましたので、ご興味のある方はそちらをご覧いただくことで今回は省略させていただきます。
ということで、今回のテーマは「ネットワーク」です。
本書によれば、「ネットワーク」とは単語の周りに広がる豊かな語彙のネットワークのことを意味しているといいます。
例えば、moneyにはそれと似たcash/currency/fundなどの類義語とのネットワークがありますし、さらにその反意語であるpovertyという対照としてのネットワークもあります。
それ以外にも様々なネットワーク関係があらゆる単語には存在しているので、そのネットワークについて詳しく知ることが、「受信語彙」の強化につながることは間違いありません。
また、私たちの脳も、単語を独立した点としてではなく、意味のネットワークとして捉えながら記憶することに長けているので、このネットワーク構造を意識的に活用することで、「受信語彙」を効率的に広げることができ、記憶にも残りやすくなるといいます。
ではまず、以下に単語の意味のネットワークを大きく4種類に分けて整理します。
① 横のネットワーク(類義語と反意語)
同じレベルで似た意味を持つ類義語(synonym)や対照的な意味を持つ反意語(antonym)の横のつながりです。
ex)類義語:big/large/huge/enormous 反意語:hot/cold
② 縦のネットワーク(上位語と下位語)
階層の上にある語を上位語(hypernym)-階層の下にある語を下位語(hyponym)のように概念の階層関係、抽象から具体へ(あるいはその逆へ)を表す縦のつながりです。
ex)animal(動物)-mammal(哺乳類)-dog(犬)-poodle(プードル)
③ 部分のネットワーク(全体と部分の関係)
全体語(holonym)と部分語(meronym)のように全体とその構成要素の関係を指します。専門的な文脈では、さらに階層を掘り下げることもあります。
ex)・treeに対するbranch/leaf/root ・leafに対するvein(葉脈)/midrib(主脈)
④ 様態のネットワーク(基本動作とその様態)
基本的な動作とその特定の仕方を表す関係を指します。実は、この様態同士の豊富さは英語の大きな特徴の一つですので、日本語との対比を念頭に少々詳しく解説します。
認知言語学者のTalmyは、言語を副詞などの衛星要素によって移動経路を表す「衛星枠付け言語(satelite-framed language)」と動詞そのもので移動経路を表す「動詞枠付け言語(verb-framed language)」の二つに分類しました。
日本語は前者、すなわち副詞が様態を表し、そして英語は後者、すなわち動詞自体によって様態が表される言語に属しているといいます。
では実際に両者を対比しながら見てみましょう。
The boy sneaked out of the room. ↔ 少年は部屋からこっそり出た。
They strolled along the river. ↔ 彼は川沿いをぶらぶら歩いた。
このように、英語は動詞自体にその動作の様態も含めて表現させているのに対して、日本語は動詞はあくまでも基本動作のみを表現し、様態に関しては「こっそり」「ぶらぶら」などの副詞が基本動作を飾ることによって表現を完成させています。
今まで無意識のうちに英語は異様に「動詞」の数が多いなと感じ、また逆に日本語は、オノマトペを含む様態を表す副詞が異様に多いなと感じていましたが、なるほどこういう構造的な違いがあったのだといまさらながら納得しました。
「受信語彙」という本来的に厄介なものをどう整理したら少しでも記憶しやすくなるのか、これらのネットワークを活用することで非常に大きな助けになることを確信しました。









