日本人と英語

英会話にとって「発音」は費用対効果が悪い

2024年8月28日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「サバイバル英会話」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目と次回の第四回目のテーマは「学習分野の費用対効果」です。

まず今回はその費用対効果の「悪い」分野としての「発音」を取り上げます。

まずは何はともあれ、本書の該当部分を引用します。

「これは私がこれまで英語を使ってきた中での考えです。相手に伝わることを最優先に勉強の計画を練るならば手を抜いて問題ありません。英語のリズムや抑揚、そして(次回取り上げる)文法のほうがよほど大事です。確かに、発音がいいとそれだけで英語の上級者に見えて、それこそ『見栄え』はいいでしょう。発音にこだわりたい方はもちろん勉強してもいいでしょうし、実際私も発音に関する解説本を書いていますが、アクセントの位置を知っていれば案外通じます。また、発音をマスターするのはかなり大変で、膨大な時間がかかります。ですから、その時間を利用してもっと別のこと、例えば単語や文法の学習をやったほうがいい、というのが私の考えです。」

私はまさに著者のこの考えと全く同じことを私が主宰する「文法講座」の発音の回(5泊コースのみ)の中で伝え、日本人にとって「必要にして十分な内容」をたった30分の講義の中で解説しています。

その内容で重要な点は、「日本人ができることとできないことを分けること」そして、「できることは」しっかり押さえ、「できないこと」はあきらめるの二点だけです。

少しだけ具体的に説明すると、英語の母音について、「a」「ə 」「ʌ 」「ə」の四つの音を私たちは「ア」に近いような音として認識していますが、それらを全て言い分け、聞き分けることは絶対に不可能なので「できないこと」に分類して深追いせずに全て「a」だと認識してしまい、子音については一部「ʒ 」と「ʤ」の違いを除いて全て「できること」ですのでちゃっちゃとやってしまいます。

前者の母音については少々捕捉が必要だと思います。

まず、「絶対に不可能」としたのは、まず一点目として、ある程度大人(12歳以上)になってから英語を外国語として学び始めた日本人にとってはということ。

そして、もう一点としては、それぞれの発音を個別にしようと思えば、それでも何とかできますが、この世の中に存在する数ある英単語の中の私たちが一般に「ア」のようなものとして認識している発音を、それぞれ「a」「ə 」「ʌ 」「ə」の四つを区別して記憶し分けるのは絶対に無理だということ。

この二つの意味からです。

しかし、繰り返しますが、その二点が故に日本人が英語の母音についてそれらを「できないもの」として上記のようなざっくりとした発音で逃げたとしても(子音のほうはたかだか30分程度の解説でほぼ確実に習得することができます)、全く問題ないのです。。

なぜなら、そもそも文法力を持たれている方が、その力を駆使して文脈を作り出すことができれば、ほぼ100%、上記に示した「限定的な発音」の知識がボトルネックになることはありえないことは事実だからです。

しかも、それ以上はやっても絶対に習得できないのでそれ以上の努力は費用対効果としては「悪い」どころか「最悪」という結果にしかなりえないからです。(念のため、それは12歳以上になってから英語を外国語として学び始めた日本人にとってということは再度確認させていただきますが。)

その意味で私はこの件について、著者の上記指摘に100%同意いたします。

 

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