日本人と英語

英会話にとって「文法」は費用対効果が良い

2024年8月28日 CATEGORY - 日本人と英語

これまで、書籍紹介ブログにてご紹介した「サバイバル英会話」からテーマをいただいて書いてきましたが、第四回目の今回で最終回です。

テーマは前回に引き続き「学習分野の費用対効果」ですが、今回は前回とは反対にその費用対効果の「良い」分野としての「文法」を取り上げます。

もう、このテーマはこのブログでは何度取り上げたか分からないくらい取り上げていますが、しかしいくら言いすぎても足りないくらいに根本的に重要なことなので、今回も改めてこのテーマを取り上げることにしました。

著者の「英会話学習の中で文法を学ぶメリット」をまとめると以下の三つになります。

①大量の英文を効率よく処理できるようになる。

②英語のリズムをつかめるようになる。

③慣用表現を覚えやすくなる。

以下に、メリット一つずつの解説を本書より要約引用します。

①大量の英文を効率よく処理できるようになる。

「文法とは『言葉のテンプレート』です。それが頭の中にあれば英語のフォーマットが出来上がり、大量の英文を効率よく処理できるようになると同時に記憶にとどめておきやすくなります。例えば、知らない外国語を旅行するときなどに簡単なやり取りができるよう『例文100、単語500』などを覚えようとしても、単語は覚えられても文はなかなか覚えられません。それは文を丸暗記しているからです。文法はテンプレートであり言葉の最も基本的なルールです。スポーツ観戦に例えると、ルールを知らずに観戦するのと、ルールを先に知っておいて観戦するのとでは、味わえる面白さも試合の理解度も全く違うのではないでしょうか。それと同じで英語の場合も文法によって面白さが分かり、だからこそ記憶しやすさが生まれるのです。」

私はよく文法をジャングルを無事に脱出するための「地図」に例えるようにしているのですが、この著者の「試合のルール」という比喩も非常に分かりやすいものだと思います。

②英語のリズムをつかめるようになる。

「英語のリズムをつかむためには、適切な箇所で言葉を区切ることが大切です。適切な場所で区切る力は紛れもなく文法の力です。言葉のテンプレートを理解しておくことで前置詞や接続詞の前で区切ったり、長い修飾語句の前で区切ったりと、区切る箇所が分かるからです。そしてそれによって(文章が整理されるため)発音をカバーすることにもなるのです。」

この指摘は、前回の記事の中で私が指摘した「そもそも文法力を持たれている方が、その力を駆使して文脈を作り出すことができれば、『限定的な発音』の知識がボトルネックになることはありえない」ということと全く同じだと思います。

③慣用表現を覚えやすくなる。

「文法がその表現の中でどのように『機能』しているかが分かると、なぜその表現がその意味になるのか理解できます。また、そうやって覚えたことは、表現と意味を丸暗記するよりも確実に記憶として定着します。そういう意味で効率的なのです。例を一つ挙げます。Doyou have the time?という慣用句がありますが、これは『今何時?』と時間を尋ねる表現です。なぜそんな意味になるのかの答えは『定冠詞the』にあります。theは『共通認識』を示します。分かりやすく言えば、その場にいる全員が『せーの』で指をさせるもの、あるいは頭に思い浮かべることのできるもの、そうしたものにtheを付けます。ということは、the timeとは皆で共通認識できる時間=今の時間であり、『今の時間持っていますか?』ということで『今何時?』となるわけです。ですから、theのないDo you have time?というのは単に『時間ある?』というナンパのセリフになってしまうかもしれません。」

そして最後に、このように費用対効果の良い「文法」をでは一体どのレベルまで抑えて置いたら良いのかということについてですが、著者は以下のように明確に述べられています。

「最低限、中学英語レベルの文法にプラスして、できれば高校で学ぶ文法も多少はやっておいたほうがいいでしょう。」

その部分についても私の「文法講座」の前提と全く同じことが確認できました。

 

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