日本人と英語

学習高原(プラトー現象)はなぜ存在するのか

2019年10月13日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「超高速PDCA英語術」からテーマをいただいて議論をしてきましたが、第六回目の今回で最終回です。

テーマは「学習高原(プラトー現象)の存在の意味」についてです。

と突然言われても意味が分からない方がほとんどだと思いますので、まずはこの「学習高原(プラトー現象)」の意味についてご説明します。

「心理学用語。 学習過程をみると,一時的に学習効果がみられなくなることがある。 この場合における学習曲線が一時水平になり高原状を呈するような現象をいう。」

今回の目的は、皆さんにこの意味を知ることで、それを乗り越えるための心構えを持っていただくことです。

それでは早速、本書における指摘部分を引用したいと思います。

「1年間の学習の中でやってくる停滞期の内、最大のものが4カ月目と9カ月目の伸び悩みです。私たちはこれを『4(死)の谷』『9(苦)の谷』と呼んでいます。学習すればするほど結果も伸びるものと思いがちですが、実際にはある程度の学習時間を積み上げたところで停滞期がやってくるわけです。この現象は英語学習だけではなく、筋トレやダイエットなど他の現象でも見られます。こうした一時的な停滞状態のことを『プラトー』と呼びます。なぜ停滞期がやってくるかと言えば脳のワーキングメモリーに理由があります。ワーキングメモリーとは、情報を一時的に記憶して思考や作業を行うためのシステムです。私たちが音声認識や意味理解をしても、それを瞬時に忘れてしまったら文章の意味を理解できません。理解するには、脳に入ってきた単語や意味を一瞬だけ記憶する必要があります。この短期記憶の機能を果たすのが、ワーキングメモリーで、これには『5~9個』くらいのものしか覚えられないという性質があります。この限界があるため、自動化されていないことは切り捨てられてしまうのです。例えば、4カ月目に脳に意味理解の回路ができ始めるものの、自動化まではされていないので、意味理解だけでワーキングメモリーを使ってしまい、構文し、話す作業は切り捨てられるというわけです。その後自動化によって『聞く力』を手に入れられます。9カ月目には構文を自動化できるようになりますが、構文するだけで容量を使ってしまい、それ以外のことは切り捨てられてしまうのです。ということは、どちらも自動化が完成すれば、容量の空きも増えて他のことにワーキングメモリーが使えるようになるので、プラトーを乗り越えて、『話す力』を手に入れられるというわけです。」

本書の全体を通じて、最もためになる情報だと思ったのが、この学習高原の関する指摘でした。

英語に何度も挫折する人は、このプラトーの状態になると、いつまで続くかわからず、この状態が永遠に続くような気がしてしまい、途中でやめてしまう人です。

予めこのことを知っておくことで、「今自分は誰もが経験するプラトーにいるのだ」と認識し、「ここで諦めずに学習を継続すればいいのだ」と自分に言い聞かせることができるようになり、最終的に乗り越えることができるようになるというわけです。

目的達成の極意は「己を知ること」にあるのは間違いありません。

 

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆