挨拶に見る英語と日本語の発想の違い
2022年6月16日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「真・英文法大全 」からテーマをいただいて書いていきますが、第一回目のテーマは「挨拶」です。
英語と日本語の発想の違いについては以前にも「日本語と英語における発想の『共通点』と『相違点』」で取り上げましたが、その記事の最後で
「所詮は人間の思考である以上、かえって『共通点』が強調されるような結果になってしまった気がします。」
と書き、その「共通点」に着目しましたが、今回は逆に「相違点」に着目したいと思います。
人間の思考の違いは、複雑な思考よりも単純な思考の際に色濃く反映されるものです。そして、単純な思考の産物の中でも最も単純な思考によって作り出されたものが「挨拶」だと思います。
本書では「朝の挨拶」を取り上げて面白い考察をしていますので以下該当部分を引用します。
「Good morningは『おはよう』とされていますが、よく考えてみると直訳は『良い朝』ですよね。『おはよう』に含まれる『早い』に相当するearlyはありません。実はこれ、I wish you a good morning.『あなたによい朝が訪れることを願っています。』が本来の形なんです。英語の世界では、挨拶=お祈りという発想があり、お祈りだからこそ良い言葉(good)しか使われません。たとえ天気が悪くてもBad morningなんて聞いたことがありませんよね。ちなみに日本人にとっては、挨拶=事実描写なので、天気が悪いと『ひどい天気ですね』という事実を口にします。『おはよう』も本来は事実描写で、『今日は朝からお早くいらっしゃいました。』⇒『お早う』と変わったのです。つまり、英語のGood morningと日本語の『おはよう』は根底から発想が違うのですが、それを無理やり「一対一の関係」として「丸暗記」してきただけということです。」
この点は私たち日本人が思っている以上に重大な事実だと思います。
というのも、文化的に近いヨーロッパ諸国の言語間では「一対一の関係」として「丸暗記」する必要はそこまでないため、日本人が英語を学ぶときには彼らよりも大きなハンデを負っていることを理解する必要があるからです。
試しに、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語で見てみましょう。
仏:Bonjour(良い日)
独:Guten Morgen(良い朝)
西:Buenos dias(良い日々)
伊:Buon giorno(良い日)
本書は、その認識に立った上での学習に最も役に立つツールが「文法」であることを100%納得させてくれることでしょう。