日常会話力こそ本物の英語力
2017年1月25日 CATEGORY - 日本人と英語
前回は、「ずるいえいご」という本の中から「すてる」ことの重要性というテーマをいただき議論しましたが、第二回目の今回は、「日常会話」について考えてみたいと思います。
著者は、「日常会話が最も難しい」と明言されています。そして、私もそのことに100%同意いたします。
この「日常会話」という言葉、一般的には「英語ですか?日常会話くらいはできるのですが、、、」というように、比較的簡単な会話というイメージでとらえられることが多いと思います。
実際、ランゲッジ・ヴィレッジでも多くのお客さんから、日常会話のレベルではなく「ビジネス英語」を身に付けられるレッスンはありますか?という質問は非常に多いものです。
そんなことはありません。その全く逆で、「日常英会話」のほうが「専門英語」すなわち「ビジネス英会話」などよりも明らかに、そして圧倒的に難しいのです。
このこともやはり、著者や私も含め、実際に海外での生活の中で苦しんだ上でそれを克服した方であれば、理解しやすいことだと思います。
最も分かりやすい例をあげるとすると、「フライトアテンダントの機内放送」です。
あの流ちょうな、そしてかなり専門的な内容まで含んだ英語を聞いてしまうと、フライトアテンダントってすごく高い英語力がなければ務まらないんだなと思ってしまいますよね。
しかし、もちろん高いレベルの方もいらっしゃるかとは思いますが、多くの方は、あれを「型」として覚えられているだけだと聞きます。そして、一方的な機内放送だけでなく、機内でのサービスに必要な英語でのやり取りも、実はかなり限定的なものであり、広い意味で「型」として捉えることができるのです。
これと同じようなことが、程度の差は有れど、例えば「医療」「ビジネス」「エンジニアリング」といったあらゆる「専門英語」には言えると思います。実際に、グローバルに活躍されている方の多くが、「ビジネスの現場での英語対応はすぐになれてしまうんだけど、いつまでも苦労するのが、その後のパーティーやゴルフ場での会話なんだ」とこぼします。
そうなのです、日常会話には「枠」や「型」が入り込むすきがない、直球勝負で純粋な「伝える力」が求められるということなのです。だからこそ、前回の「捨てる技術」の重要性を著者は主張しているのです。
ランゲッジ・ヴィレッジでは、8~9割がたのレッスンが、テーマを持ったいわゆる「枠」を利用したトレーニング(それでも、「型」だけで乗り切ることはできないものとしています)で構成しますが、残りのスペースで、必ずテーマ自体をその場で決めるような「フリーカンバセ―ション」のレッスンを入れるようにしています。
また、食事や休み時間に講師と一緒にいる時間も、「枠なし」の時間とも言えます。
この「フリーカンバセ―ション」が、上記の理由で人気がないのですが、量としてはこの割合に抑えますが、決して廃止にはしません。表面的な顧客満足度のことだけを考えれば、廃止にすべきなくらいに人気がないのにです。(笑)
なぜなら、テーマがない中で会話することがいかに大変なことか、「し~ん」と静まり返る時間と戦いながら自分のペースで継続するということが、いかに辛いかを思い知らされるべきだと考えるからです。
その上で、自分の頭の中で言いたいことを、「捨てる技術」を使ってどんどん英語で伝えていくことこそが、「し~ん」と静まり返る時間と戦う方法なのだということに気づいてほしいのです。