日本人と英語

日本人としての英語能力を解剖する

2024年12月4日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語上達完全マップ」からテーマをいただいて書いていきたいと思いますが、第一回目のテーマは、「レベル別の外国語としての英語能力」です。

英語学習にとっては、英語の段階的レベルごとの言語化は非常に重要であることは当たり前で、自らが今どのレベルにいるのかの把握は欠かせないものですが、これについてはすでに「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)について」の記事にて解説済みではあります。

ただ、正直これは「ヨーロッパ全体で外国語の学習者の習得状況を示す際に用いられるガイドライン」であるため、私たち日本人の英語学習者にとってはなんとなく体感性に欠ける気がしていました。

本書では、日本人の(あるべき)英語学習過程を意識した上で、以下のようにレベル1~レベル7(レベル7については母国語と同じレベルなので段階としてはCEFRと全く同じ6段階)に分け、それぞれのレベルを詳解しています。

レベル1:

英語の訓練を全くしていない段階。学校で漫然と授業を受けて来ただけ。一般的日本人のレベル。外国人に道で話しかけられたり、海外旅行をしたりしても、知っている英単語を並べることと、身振り手振りでコミュニケーションをとるのが精一杯。このレベルで英語(というより英会話)に興味のある層の本棚には「楽々英会話何とか」とか「あっという間に英語マスター云々」といったたぐいの本、教材を持っていたりします。TOEIC300台どまり。

レベル2:

大学受験時代の英語の偏差値が70を超えているなど英語がかなり得意で、その上多少の実践的訓練に手を付けたレベル。センテンスによるコミュニケーションができ始める。でも反応が遅く、表現もひどく限られています。読みは簡単なものをゆっくりと読めるだけ。TOEIC400~500くらい。英検2級の賞状が壁に飾られていたりします。

レベル3:

コミュニケーションの用に足る英語力の入り口。スピードや表現はかなり限られているものの、実のあるコミュニケーションが取れ始める。単独で海外旅行に行ってもそれほど不自由はしない。英語のできない人には、「いいな~。英語がペラペラで」などと羨ましがられる。読みも簡単な内容なら速読ができ始める。TOEICは600突破。

レベル4:

英会話がかなりでき、英語のできる人で通る。読みも英字新聞だとがかなりのスピードで読めるようになる。留学が可能。企業が従業員に求める英語力の上限。仕事で海外駐在を数年経験したビジネスマンにこのレベルの人が多い。ネイティブ・スピーカーに細かな部分を助けてもらえば仕事でも生活でも支障が少ないので、自発的、積極的な努力をしないと十数年海外にいてもこのレベルにとどまることが多い。TOEIC700~800台。

レベル5:

英語で仕事、生活の会話全て流暢にこなせる。英語圏で暮らしても障害はほとんどなし。英語を話すことで疲れない。ネイティブ・スピーカーがスピードを落とさずに対等に話しかけてくるようになる。新聞・雑誌・ペーパーバックを寝転がって楽しんで読める。しかし、複数のネイティブ同士の非常にカジュアルな会話の中に投げ込まれたり、早口でぞんざいな発音で話される映画やテレビドラマを見たりすると半分しか分からない。英文を書くと構文的にはほぼ正確だが、冠詞、前置詞の間違いやネイティブから見ると不自然な文体が混じる。TOEIC900~満点。

レベル6:

発音や表現に微かなエキゾティズムが漂うが、ネイティブと全く同レベルで話すことができる。英語を話すときに全く文法・構文を意識せず、しかも文法的間違いを起こさない。複数のネイティブ間のくだけた会話も、映画・TVドラマも完全に理解できる。また、事前な文体でミスのない英文をすらすらと書くことが可能。TOEICなどのテストで測定することはナンセンスなレベル。

レベル7:

すべてにおいて母国語と同じレベル

ちなみに、本書で著者は、レベル6が英語を学習する時の究極の目標で極めて到達困難なレベルだとおっしゃっています。

一流の通訳などプロの中にほんの少しだけ存在すると推定され、ご自身が到達しえた最上のレベルであり、ご自身以外に一定の年齢に達してから学習し始めてこのレベルに達した日本人に直接会ったことがないとも。

私自身は、アメリカ留学時代の最終段階でレベル5にようやく届くか届かないかといったところかと自己評価しました。(もちろん、その時がおそらく私の人生における最高地点だと思いますので、その時々の英語と触れる時間にもよりますが、現時点では確実にレベル4がいいところでしょう。)

特に、「英語圏で暮らしても障害はほとんどなく、ネイティブがスピードを落とさずに対等に話しかけてくるようになる。」が「早口でぞんざいな発音で話される映画やテレビドラマを見たりすると半分しか分からない。」という部分は、まさにそのとおりで、CEFRと比べても、ずっと体感的に把握できるスケールだと思いました。

 

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