日本人と英語

最適な単語の学習回数

2026年9月10日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「英単語学習の科学#373」からテーマをいただいて書いていますが、第四回目のテーマは「単語の学習回数」についてです。

前回の「テスト効果」の記事の最後で、

「テスト効果で新しいものを覚えたとしても、その記憶は時間とともに薄れ、やがて忘却されてしまうことは避けられません。そのため、それを記憶に定着するためには定期的な復習が欠かせないのは明らかですが、その論点についてはすでに『集中学習と分散学習』というテーマで学び記事にしていますのでその解説はそちらに譲ります。」

という形で締めくくったのですが、ではその「分散学習」の分散頻度については過去記事では触れられておりませんでした。

本書には、その分散頻度、すなわち「最適な学習回数」についての研究についても取り上げていましたので以下、その内容を要約引用します。

まず、大前提として「何回くらい学習すれば習得できるのか」という質問に対する回答は、個人差や単語の難易度によって必要な回数は変わってくるのは当然で非常に困難であることは言うまでもありません(実際に、この質問はthe holy grail question=聖杯問題とも言われています)。

しかし、本書の著者はこの「聖杯問題」に果敢に挑戦し、次のような実験を行ったというのです。

日本人の英語学習者に16の英単語を1回・3回・5回・7回のいずれかの回数で学習をさせ、その直後・1週間後・4週間後に事後テストを行った結果がこれです。

このように、学習回数が増えるについて、当然ながら事後テストの正答率は高くなりました。

ただ、それぞれの正答率を分析すると、5回と7回との間には統計的に優位な差がみられない、すなわち学習回数を増やすことで記憶が強化されることは事実ですが、5回から7回に増やしたとしても、記憶への定着度はそれほど上がらない(学習直後のケースではむしろ下がっている)ということになります。

この結果から、意図的に語彙を学習する際は、「5回」というのが(あくまで暫定的ですが)「最適な学習回数」として提案できそうです。

ただし、これはあくまで最も「効果的」な回数ということですので、第二回目の「意図的語彙学習と付随的語彙学習」の回で見たように「効率的」かどうかという視点も必要とのことで著者は次のような分析をされています。

著者が「1分あたりの習得単語数」を計算した結果がこちらです。

このグラフから分かる通り、「学習効率」を検討してみると、一回しか学習しなかったグループの学習効率が最も高いという「学習効果」とは正反対の結果が得られたのです。

この二つの実験結果を統合的にとらえると、単語は一日に複数回学習するよりも、一日当たり1回の学習を期間を空けて5回(著者はここでは5回と言っていませんが)にわたって行うことが、「学習効果」と「学習効率」の両面から最適なものと言えるような気がします。