
正しい単語カードの作り方
2026年9月10日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「英単語学習の科学#373」からテーマをいただいて書いてきましたが、第五回目の今回が最終回です。
最終回のテーマは「単語カード」です。
第二回目の「意図的語彙学習と付随的語彙学習」の記事で、この二つがはどちらが優れているかどうかを争うようなものではなく、学習の段階ごとにどちらが適切なのかを問うべき性質のものだと結論付けましたが、その「意図的語彙学習」の典型例として挙げられていたのがこの単語カードでした。
本書ではこの単語カードの正しい作り方と使い方について詳細な説明がありましたので以下にそれぞれ引用します。
①単語カードの正しい作り方
(1)単語の意味は英語ではなく日本語で書く
これまでの研究から、英単語の意味を英語で与えるよりも母語
で与えたほうが長期的な記憶保持に結び付くことが示されています。さらに、日本語訳の方が英語よりもスペースを取らないため、単語カードの空所に用例や語源などのメモを書き込みやすくなるという利点もあります。第一回目で「英単語の記憶=和訳の記憶ではない」との理解をしましたが、それでも英単語を身につけるための第一歩として非常に有効ではあります。
*私たちの脳のOSはあくまでも日本語ですから。
(2)単語の中心的な意味をつかむ
辞書に複数の意味が載っている場合は、それらの語義に共通するコアミーニング(単語の中心的な意味)を書くと良いでしょう。例えば、stressには「(1)圧力(2)緊張(3)強調」など様々な意味がありますが「力がかかる」というのが中心的な意味です。またdrawには「(1)描く(2)引く(3)出す」ですが、(線を引いて)描く、(引き出しを引いて)出すということで、「引く」がそうです。
*単語カードを作るときに、このように自分でコアミーニングを引き出すひと手間をかけること自体が記憶を助けることにつながると思います。
(3)記憶術と併用する
英単語と和訳の結びつきを思い出すきっかけとなるような情報である「語源」や「語呂合わせ」などの記憶術を用いることで、英単語の意味を長期的に記憶することができるので、単語カードの余白にこれらを書いておくようにします。
②単語カードの正しい使い方
(1)英単語や和訳を思い出す練習をする
すなわち第三回目の「テスト効果」を最大限に活用するということです。
(2)単語カードをシャッフルする
毎回同じ順番で単語を学習していると、「reasonableの後はdで始まる単語のはずだから次の単語はdistantだな」というように単語の並び順と関連付けて記憶してしまい、単語カードで勉強している時には思い出せても、実際のコミュニケーションでは思い出せない恐れがあります。単語の並び順をヒントにできないようにしてください。(この理由から単語帳よりも単語カードの方が優れていると言えます)
(3)短時間でもいいので毎日学習する
すなわち「分散学習」の効果を最大限に活用するということです。
(4)苦手な英単語は重点的に復習する
「覚えた単語」「自信のない単語」「これから学習する単語」など、記憶の定着度に応じて単語を複数のグループに分けて、定着度が低い単語を重点的に学習することが可能になります。それでもどうしても覚えられない単語に関しては、カレンダーや手帳に書き込んだり、パソコンの壁紙やスマホの待ち受け画面に表示させたりして、苦手な単語への接触回数を増やします。
(5)英単語の意味を瞬間的に思い出すトレーニングをする
会話などコミュニケーションで英単語を使うためには考えてやっと思い出せるというのでは不十分で、見た瞬間に意味が思い出せるようにしなければなりません。制限時間を設けるなど時間的負荷をかけるようにトレーニングしてください。
(6)紛らわしい英単語は識別トレーニングをする
particular(特定の) とpeculiar(独特な)、 endemic(一地方特有の)とepidemic(流行性の)、historical(歴史の)やhistoric(歴史的に有名な)など、語形や意味が似ている単語はきちんと区別できるように識別トレーニングが必要です。まずはそれらの単語を別々に学習し、記憶に定着させます。ある程度定着して時点で、それらのカードを近い位置に移動させ、両者をきちんと区別できているか確認します。
このように、単語カードによる学習は非常にメリットが多いことを確認することができました。
ただ、そんな単語カードにも欠点があることは知っておくべきでしょう。
それは、「日本語と英語の意味は必ずしも一対一で対応するとは限らない」ため、単語カードで英単語と和訳を結び付けて覚えていると、思わぬ誤用をしてしまう危険があるということです。
ですので、最良の単語学習とは、やはり単語カードの短期間で多くの英単語を学習できるメリットを享受しつつ、このような欠点を、「単語カードの作り方(2)単語の中心的な意味(コアミーニング)をつかむ」などの工夫などで潰したり、段階に応じて「付随的学習」を増やしていくことで補うという臨機応変な学習なのだと思います。









