
無生物主語構文とは何か
2026年5月6日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「英文法以前#358」から「英語の難しさ」をテーマをいただいて書いていますが、第三回目の今回で最終回です。
今回は前回の「句動詞」同様、文法関係は見抜けるが意味を取ることができない「難しさ」という論点で「無生物主語構文」を取り上げます。
それはこのような文を言います。(この論点自体はすでに書籍紹介ブログ#74にて紹介済み)
① This train will take you to the airport.
② The heavy rain prevent us from going out last night.
しかし、多くの日本人は同じことを伝えるためには、
① You can go to the airport by this train.
② We could not go out because of the heavy rain last night.
と表現することが普通でしょう。
本書によれば、この「無生物主語構文」を定義すると次のようになります。
「無生物のものが他者(特に人間)に影響を与え、何かを引き起こすという内容の文」
ですので、例えば「謎が解けた。」とか「ペンが机から落ちた。」とか、日本語でも存在するような「自動詞」を使った文は、主語が無生物であっても「無生物主語構文」とは言いません。
「他者に影響を与え、何かを引き起こす」ためには動詞は必ず「他動詞」でなければならないので、当然にしてその文型は、
・SVO・SVOO・SVOC
のいずれとなります。例えば、
・SVO:は上記の2文
・SVOO:This book will give you all the information that you need.
・SVOC:The horror movie kept her silent.
これらを日本語に訳そうと思うと普通は、SVOOを(この本はあなたに必要とするすべての情報を与えるだろうを読めばあなたが必要な情報が全て得られるだろう。)や、SVOCを(そのホラー映画は彼女を黙らせておいた)となりがちですが、しかしこれでは日本語として不自然であると言わざるを得ません。
そこで、このような日本語とは異なる英語表現が存在するという事実を知った上で、その意味合いが以下のよう形に意訳できる力を身につけることが必要です。
(この本を読めばあなたが必要な情報が全て得られるだろう。)
(彼女はそのホラー映画を見て黙りこくってしまった。)
しかし、「意訳ができる」ことと、「自在に生成できるようになる」ことにはそれでもまだ雲泥の差があります。
それ程、この「無生物主語構文」は、「日本語には見られないが、英語には頻繁にみられるもの」の代表例として挙げられる日本語と英語の間に横たわる本質的なギャップを象徴する英語独特の表現と言えます。
私はいまだに自分が書く英語の文章にこの「無生物主語構文」を自然体で取り入れることはほとんどできませんし、、他の日本人が自然体で「無生物主語構文」を書いたのをみることもほとんどありません。
ところが、明治時代の日本人が書いた文章にはこれがバンバン出てくるので驚かされ、また、ひそかに敗北感に打ちひしがれるような気持ちにもなります。
ですので、これを日本人が自分で自在に生成できるようになることはそれまでに相当な努力の継続がなされたことの証明にもなると思われます。
あまりに努力しすぎて、日本語にも影響をあたえてしまった例もかつてこのブログで「英語の日本文学への具体的な影響」の記事を書いてご紹介したこともありました。
*尚、本書には文法関係は見抜けるが意味を取ることができない「難しさ」という論点で「前置詞(の豊富さ)」についての項目がありましたが、こちらについてはもう少し詳細な学習が必要だと考え、できる限り「体感」することでその本質に迫ることができるような書籍を一冊買い求め、そちらを書籍紹介ブログ#359にてご紹介することにしましたのでご参照ください。









