日本人と英語

退屈なリスニングを緊迫したゲームに

2020年12月27日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「理想のリスニング」からテーマをいただいて書いていますが、第二回目のテーマは、「『聞くこと』の本質的性質」です。

本書では「聞くこと」について次のように述べています。

「能動的な行為である『書く』『話す』に対して『聞く』のは受身の営みです。話せない、書けないと感じるときは強烈な敗北感を味わうけれど、『読む』や『聞く』がうまくいかない時に私たちが経験するのは『敗北』よりはもっと曖昧な不安です。『分かる』の方は明確な境界線とともに実感されますが、『分からない』の方は果てしなく続くグレーゾーンとして体験される。そんな曖昧な気分は『面白くない』。とりわけ、『聞く』については、言葉とうまく交われない機能不全のようなものが、『分からない』なのか『分かろうとする気になれない』のか『面白くない』なのか判然としない。つまり、『分からない』から『面白くない』へと至るひとつらなりの心理の土台にあるのは『気』です。」

つまり、「聞く」は本質的にというか気分的にというか、どちらにしても「退屈なもの」で、その「退屈さ」が「分からなさ」と密接につながっているということです。

このように言われてしまえば、元も子もないと言われてしまいそうですが、著者は、ならばこの退屈さという本質的な性質を持った「リスニング」に対してアプローチするためには、いかにこの退屈さを排除すればよいかを突き詰めればいいのではないかと提案されています。

このように考えた時、よくありがちな提案として映画やドラマなどの興味深いコンテンツを活用したリスニングのトレーニングが想起されるかもしれません。

しかし、私はLVのウェブサイトで紹介していますが、映画を活用したリスニング強化、特に初心者にとっての強化方法としては反対の立場をとっています。

また、著者も以下のように私と同意見のようでした。

「ドラマのようなコンテンツを活用する方法はある程度聞く力が備わっていないとうまくいかないことも多いでしょう。また、興味の対象が人によって違うということ、同じ人でもその時の状況次第で興味を持つ対象が変わると言ったこともネックになります。」

そんな中で、聞くための素材にある程度汎用性を持たせるために著者が提案されたのは、「①ぶつ切り直前ディクテーション」と「②ぶつ切りすぐ後ディクテーション」でした。

「そもそもリスニングの練習として最も手軽なのはディクテーション。生徒に音を聞かせ、書き取らせるという作業です。用意するのは解答用紙だけ。至極簡単です。ただ、採点に時間がかかる。そこで考えたのが①『教師がテープをブツッと止めた直前の単語を書かせる』というものです。これなら、単語一語だけだから採点も楽。しかもある程度の長さの英文を聞かねばならない。『書き取る単語を特定する仕方でいくつかのバリエーションも可能』です。②は『テープを止めたそのすぐ後に来る単語を書く』というもの。こちらは物理的に聞こえていない単語を、聞こえた音から予測して書くので、単に一語一語即物的に耳を澄ませるだけでなく、ある程度文法知識を動員しなければならないものです。」

これだけではなかなか実感が湧かないと思いますので、ほんの一部ですが本書の付属のCDから音源を拝借してyoutubeであげてみましたのでご参照ください。

「①ぶつ切り直前ディクテーション」

 

「②ぶつ切りすぐあとディクテーション」

 

「とにかく英語を聞いて慣れなさい」と命じたところで、学習者の方はそんな漠然として課題では退屈ですぐに飽きてしまい、継続することはできません。

この二つの方法のポイントは、具体的な作業をはっきりと指定するということです。そうすれば、明確な一点を目指すことである意味「ゲーム感覚」の面白さを作り出すことができる。

言ってみれば、イントロクイズのような緊迫感を創出することができます。

それでいて、ただの反射ではなく、論理的な知識も動員する必要がある高度な知的作業につなげることもできます。

是非、参考にしてみてください。